中国当局はこのほど、国内の景気下支えを優先し、インフラ投資拡大に政策転換したため、地方債の発行を加速させている。中国メディアによると、8~10月まで、インフラプロジェクトの資金調達が目的の特別地方債(専項債)だけで、約1兆1997億元(約19兆4351億円)が発行される見通しだ。
当局は、今年下半期において地方債発行の加速のため、関連規制を緩和した。金融監督当局である銀行保険管理監督委員会は今月初め、各銀行が保有できる地方債の額を発行量20%の上限を廃止した。今後、各銀行は地方債の全額購入が可能となり、地方債発行の拡大を促す。
米中貿易戦の激化で中国経済の失速が鮮明となって以降、7月末、中国共産党中央政治局の会議において、「経済の安定化」が強調され、これまでの債務圧縮政策から、景気を刺激する公共投資拡大の方針に変更した。
中国財政部は8月中旬、特別地方債の発行を加速するよう各地方政府に通達した。
政策転換を受けて、当局は各地の地方債の発行ペースを速めた。中国金融データ・サービス「Wind」によると、8月の地方債発行額は、7月と比べて16.65%急増の約8830億元となった。9月の規制緩和を受けて、地方債発行ペースが一段と加速するとみられる。
中国証券報(4日付)によると、国内証券会社の華創証券は、当局が定めた18年の1年間の特別債発行限度額が1兆3500億元であることから、8月と9月に9297億元、10月に2700億元と3カ月内で1兆1997億元を集中的に発行する必要があると指摘。
また新浪財経の報道では、中央当局が今年の地方政府の新規債券発行限度額を2兆1800億元に引き上げたと示した。その内訳は、特別債が1兆3500億元、一般債8300億元。さらに、置換債券(既存債務と置き換える債券)発行限度額の1兆7000億元を加えると、今年地方債の発行総規模は約3兆8800億元(約63兆円)にのぼるという。
中国の地方債務はすでに危険水準にあるため、今回は景気改善を優先させた措置だ。景気の悪化が共産党政権を不安定にさせる恐れがあるためだ。
(翻訳編集・張哲)
大紀元時報 エポックタイムズ より転載
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