[ワシントン 11日 ロイター] – 米国務省は11日、中国政府が新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族などのイスラム教徒の弾圧を強めていることに「深い懸念」を表明した。米議会の超党派グループは中国政府当局者などに対する経済制裁の発動を求めており、政府内で検討されている。
米議会筋によると、ウイグル族などのイスラム教徒が新疆ウイグル自治区の収容キャンプで多数拘束されているとの報告を受けて、中国に経済制裁を科す可能性について米政府内で最近、積極的な議論が交わされるようになったという。
トランプ政権は対中関係において、通商問題を巡り強硬姿勢を貫いているほか、北朝鮮に核放棄への圧力を強めるために中国の協力を呼びかけてきたが、人権問題を巡り制裁を決定すれば異例の対応となる。
ある米当局者は、制裁は検討段階にあると指摘。議会筋の1人は、決定が差し迫っている感じではないと述べた。
国務省のナウアート報道官は「ウイグル族だけでなくカザフ人や他のイスラム教徒に対する(新疆ウイグル自治区での)弾圧強化を深く懸念している」と表明。
報道官によると、議会の超党派グループは国務省に8月末に送った書簡で、ポンペオ国務長官に対し、抑圧政策を主導しているとされる複数の中国政府当局者に制裁を科すよう要請した。また、1人の議会筋によると、収容キャンプの建設やウイグル族に対する監視システムの設置に関わった複数中国企業に対する制裁も提案されており、検討対象になっているという。
ナウアート氏は「われわれが取り得る手段は多くある」としながらも、「今後起こり得る、あるいは起こり得ない制裁について前もって話すことはしない」と述べた。
国連の委員会は前月、推定で最大100万人のウイグル族が新疆ウイグル自治区の超法規的な収容キャンプに拘束されているとの信頼できる報告が複数寄せられていることに懸念を示し、解放を求めていた。
ナウアート氏は「収容所で2017年4月以降、多数が拘束されているとの信頼できる報告がある。これまでの推定では、拘束されている人数はかなり大きい」と述べた。