[東京 20日 ロイター] – 仮想通貨交換業者のテックビューロ(大阪市)は20日、運営する取引所Zaifがハッキングの被害を受け、約67億円相当が消失したと発表。入出金再開のめどは立っておらず、金融庁は同日中にも同社へ立ち入り検査に入る。
同社は被害発覚後、預かり資産の払い戻しなどのために支援を要請。フィスコ<3807.T>の関連会社から50億円の金融支援を受けるほか、同社との資本提携を検討することで合意した。
ハッキング被害は14日午後5時から午後7時ごろの間に発生。テックビューロは17日にサーバーの異常を検知し、18日に被害を確認した。
顧客から預かった仮想通貨の入出金用のホットウォレットを管理するサーバーに対し、外部から不正アクセスがあり、ビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュが不正に送金された。被害総額は約67億円と推定され、このうち約45億円が預かり資産。金融庁は18日付でテックビューロに対して資金決済法に基づく報告徴求命令を出した。
テックビューロは原因を分析するとともに、セキュリティーの強化やサーバーの再構築などを行っているが、入出金再開のめどは立っていない。同社の朝山貴生社長ら現経営陣は責任を取って役員を辞任する方針だ。
関係筋によると、金融庁はテックビューロに立ち入り検査を実施する。20日にも現地へ職員を派遣して経営管理体制を点検する。同社は今年3月と6月の2度にわたって資金決済法に基づく業務改善命令を受けている。
また、ロイターが入手した内部資料によると、金融庁は仮想通貨交換業者を対象に、顧客財産の管理状況に関する緊急調査にも着手した。調査票を各社に配り、21日までに回答するよう求めている。
調査項目は仮想通貨の管理方法、6月末時点の預かり仮想通貨の額、仮想通貨の移転時に必要な電子署名の方法など。ホットウォレットで顧客の仮想通貨を保管している場合はその規模や、仮想通貨が流出した場合に業者の財務に与える影響も調査する。また、自社の金銭と顧客の金銭を混ぜて保管している場合にはその額や混ぜて管理している理由も回答するよう求めている。
匿名性の高い仮想通貨を扱う国内外の取引所では、資金流出事件が度々発生している。
今年1月には、仮想通貨取引所大手コインチェックから約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム、単位はXEM/ゼム)」が外部からの不正アクセスで流出。この問題で業務改善命令を受けたコインチェックは4月、マネックスグループ<8698.T>の傘下に入った。(
*内容を追加します。
(和田崇彦)