[ベルリン 19日 ロイター] – 中国企業によるドイツのハイテク企業の買収が増加する中、独政府がこうした動きへの対抗措置を検討していることが関係筋の話で明らかになった。資金繰りが困難になっている国内企業の支援に向けた基金の設立などが検討されている。
関係筋によると、主要な技術の国外流出を防ぐために、政府は規制制度の変更を検討。外国企業による25%以下の株式取得に関する政府による審査のほか、審査対象となる案件の拡大などが見込まれる。
また、中国企業の買収提案に対抗できる民間投資家が見つからない場合や、ドイツ復興金融公庫(KfW)[KFW.UL]による保証が十分でない場合に、買収対象となっている企業を支援する基金の設立も検討されている。関係筋は「最終手段として利用できる約10億ユーロの基金の設立について討議している」としている。ただ現時点では、こうした基金の原資の調達方法などは明らかになっていない。
経済省の報道官はこの日の定例記者会見で、ドイツが保有する技術の保全に向けた取り組みを行っているとしながらも、政府は企業を買収から守るための国営基金の設立は検討していないと述べた。
関係筋によると、中国企業によるドイツ企業の買収は2017年は30件と、16年からほぼ倍増した。また、過去3年間の外国企業によるドイツ企業に対する買収提案のうち40%が中国によるものだった。