米、中国軍の兵器管理部門を制裁対象に 対ロ制裁違反で

[ワシントン 20日 ロイター] – 米政府は20日、中国人民解放軍の兵器・装備品の管理部門に当たる共産党中央軍事委員会装備発展部と同部部長の李尚福氏を制裁対象に指定した。ロシアから戦闘機やミサイルシステムを購入し、米国による対ロ制裁に違反したためという。

米国務省は、装備発展部と李氏が、ロシアの国営兵器輸出企業ロスオボロンエクスポルト社との「重大な取引」に関与し、2017年には最新鋭戦闘機「スホイ35」を10機、18年には最新鋭地対空ミサイルシステム「S400」を購入したとしている。

装備発展部と李氏は米国への輸出承認申請と米金融システムの利用が禁止されたほか、米国とのビジネスができなくなる米財務省の特別指定リストに追加された。

米政府はまた、ロシアの軍や情報機関に関与している33の個人・団体を「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づくリストに追加した。

同リストに載っている個人・団体が重大な取引を行うと、中国のように制裁対象に指定される可能性がある。

中国政府は米政府の決定に怒りを表明し、制裁を撤回するよう要求した。

中国外務省の耿爽報道官は北京で「米国側によるこれらの理不尽な行動に対し、強い憤りを表明する」と述べ、米国の行動が二国間関係と軍事面での連携を深刻に損なうと付け加えた。

報道官はその上で「米国側が直ちに誤りを是正し、いわゆる制裁を撤回するよう強く要求する。さもなければ米国側が結果の責任を必ず負うことになる」と述べた。

ロシアの議員は、今回の装備発展部および李氏に対する制裁措置が「S400」と「スホイ35」の契約に影響することはないと述べた。

一方、米政府関係者は今回の制裁措置が「S400」の購入を検討している他の国に影響を与えることを望むとした。

「S400」を巡っては、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコが購入を計画している。

*内容を追加します。

 
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