欧米諸国では、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する動きが顕著になっている。米下院がこのほど発展途上国のインフラ整備・経済支援に取り掛かるための法案を可決した。欧州連合(EU)は9月下旬、対アジア投資に関連する新しい外交政策を採択した。
米下院は26日、「2018年善良投資促進発展法 (建設法)」を可決した。法案は近いうち上院で通過される見通し。海外投資を管轄する2つの政府機関の関連部門を統合して新設された国際開発金融会社は従来の倍の予算をもって、今後、海外の貧困地域のインフラ整備・経済支援を行うことになる。
発案者であるテッド・ヨホ米下院外交委員会アジア太平洋小委員長は、法案は中国の「一帯一路」戦略に対抗するものだと明言した。
法案の下院通過を受けて、ロイス同外交委員会委員長は声明文で「中国などの専制国家は発展途上国をターゲットにしている。『一帯一路』といった投資プロジェクトは融資先国を借金漬けに陥れさせている。このことは、アメリカの民主的価値観に沿ったものではない」と発案の背景を説明し、法案に沿った米国の投資は、相手国の雇用創出、貧困軽減につながるうえ、米国の輸出と雇用、安全保障にとってもプラスになると力説した。
一方、欧州議会は9月19日、アジアのインフラ整備に参入するための新しい外交政策「アジア連結戦略」を採択した。今後はアジアの運輸、エネルギー、デジタル通信インフラに投資し、2021~27年に民間から3000億ユーロ(39.3兆円)を募る予定。
EU内部では以前から「一帯一路」警戒論が浮上した。中国政府は、欧州とくに東欧で政治・経済的影響力を深化させることで、いずれ欧州を分裂させその政治・経済構造を揺るがすのが狙いだと懸念されている。
欧州議会の関係者は今回の新しい外交政策は「一帯一路」を意識したものではないとしているだが、同議会が9月中旬に承認した欧中関係レポートには、中国は同戦略を介して、欧州に対する影響力を増幅させているという懸念文言が盛り込まれた。
専門家はアメリカに続いて、ヨーロッパ諸国も中国からの脅威をより認識している、と指摘した。