地震や台風などの災害の時に、たまたま居合わせた人や近所の人と助け合って、温かな気持ちになったことがある人は少なくないでしょう。そんな特別なことがない時でも、温かな絆を感じることができたら良いのにと思うことさえあるかもしれません。フランス第二の都市リヨンでは、日常の様々な場面で見知らぬ人とちょっとした会話を楽しんで、温かい気持ちになれる場面がたくさんあります。
例えばスーパーの売り場で、何かお菓子が食べたいと思って見ていると、やってきたおじさんが笑顔で話しかけてきます。「このクッキーおいしいんだよ!」スタスタ立ち去るおじさん。このクッキー、買ってみようかな?と思ってしまいますよね。
レジで並んでいる時には、買うものが1つだけしかない人が後ろにいることに気づいたおばさん、「私たくさんあるから、お先にどうぞ」「ありがとうございます。今料理していたら小麦粉がなくなっちゃって…」そして会計が済んで、「メルシー、オルヴォワール(ありがとう、さようなら)」と笑顔で別れていく…譲り合って嬉しいのはもちろんのこと、ちょっとした交流に心が温まります。
パン屋さんにて、「今日は◯◯はないんですか?」若い女性の店員さんに尋ねると、店員さんが店の奥に話しかけ、ちょっとごつい職人さんがやってきて、「ごめん、今日は作るのを忘れちゃったんだよ〜」「そうなんですか。残念…じゃあまた来ます!」と皆が笑顔。そんなふうに言われたら、なんだかホンワカした気持ちになりませんか?
こんな心の交流があると、自然に笑顔になれるもの。今すぐ急にフランス風にやるのは無理でも、ちょっとした場面で微笑んだり話しかけたりできるなら、今抱えているモヤモヤした気持ちの雲がちょっと晴れるかもしれません。お金では買えないけれど、お金をかけずに築くことのできる人との絆。誰もが必要としているのですから、やったもの勝ちですよ!