アメリカの新聞、ウォールストリート・ジャーナルは先日、中国当局が米国企業に強制的に技術移転させる4つの方法を報じました。一方、中国政府は先日発表した白書の中でも、こうしたやり方を否定し続けています。
ウォールストリート・ジャーナルは中国企業、米国企業、政府高官数十名に対する取材と、関連文書の調査を行い、9月26日、中国が外国企業に強制的に技術移転させる4つの手口を報じました。
1.米中合弁企業の米国側に圧力をかけ、その技術を放棄するよう要求する。
2.裁判所に米国企業の特許無効を宣言させる。
3.独占禁止法に抵触したとの名目で、米国企業の文書を直接差し押さえる。
4.詳細な調合方法やフローを提供するよう米国企業に要求し、中国側の専門家に審査させるが、それらの技術は速やかに中国企業に導入される。
米国在住の経済学者 夏業良氏
「強制的な技術移転は以前から存在している。さまざまな角度から外国企業に圧力をかけ、技術が効果的に移転されなければ、外国企業は中国でそれ以上商業活動を行うことができなくなる」
米サウス・カロライナ・エイキン大学 謝田教授
「中国はこうしたハイテク技術を獲得すると製品を生産し、今度はそれを国際市場や米国市場に投入し、米国企業と競合させる。つまり米国人は自分たちの技術や特許を使って競争相手を育てていることになる。米国は中国との公平な競争は歓迎するが、不公平な競争は許さないだろう」
今年初めに行われた調査で、上海の米国商工会議所会員のうち、航空宇宙産業関連企業の44%、化学工業関連企業の41%が「明らかな圧力」により技術を強制移転させられたことが明らかになりました。
一方、中国政府が9月24日に発表した「白書」には、技術移転は政府が強制したのではなく、各企業が自発的に行ったもので、強制技術移転は米国側の歪曲と中傷だと記されています。
米国家経済会議(NEC)委員長 ラリー・クドロー氏
「我々が入手した数々の情報源によると、中国政府は自身が間違っていることを認識している。私は常々情報筋からそう聞いている。しかし、彼らは一貫して改善を拒否している」
米国在住の経済学者 夏業良氏
「中国側は中央政府に直接的な規定があることを認めない。公の文書には書かないかもしれないが、中国当局は地方政府や国営企業、そして外国企業とやりとりのある機関に対し、非公式で 中央政府の意図する通りに(強制的技術移転を)推進するよう要求している。これは否定しようのない事実だ」
しかし最近になって中国は、中国人民銀行の周小川(しゅう・しょうせん)前総裁を通じて、地方レベルで強制的技術移転が行われていることを公に認めました。一部評論家は、これは中央政府が一定の譲歩を見せたことの現れであり、中国政府は貿易戦争によってアメリカから圧力を受けたため、強制的技術移転を控える可能性があると考えています。
一方、アメリカ在住の経済学者、夏業良(か・ぎょうりょう)さんは、この結果は米国が求める成果にはほど遠いとしています。
米国在住の経済学者 夏業良氏
「貿易摩擦は複数の要素が絡み合って生じたもので、一つの改善だけでは解決できない。すべての問題を改善し、通常の市場経済国家における規則に従ってこそ、正常な市場経済国家とみなされる」
ホワイトハウスは、中国の強制的技術移転により米国は毎年500億ドル(約5兆6925億ドル)もの損失を被っていると試算しており、強制的技術移転が米国企業の競争力と革新力を削ぎ、米国経済と国の安全に長期的に不利益を与えていると表明しています。