[ワシントン 10日 ロイター] – 米財務省は10日、8月に成立した国防権限法(NDAA)に基づき、ハイテクや通信など重要度が高いと見なす27業種を対象に、外国企業の対米投資規制を強化する方針を明らかにした。中国企業による対米投資を制限する狙いがあるとみられる。
NDAAには海外勢による対米投資を安全保障の観点から審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する規定が盛り込まれている。CFIUSが取り扱う案件の中でも注目度が高いものは政府系をはじめとする中国企業を審査対象としている。中国企業はこれまで、米国の先端半導体メーカーなどのハイテク企業を買収ターゲットにしてきた。
今回規制強化の対象となった業種には通信や半導体のほか、エンジンとエンジン部品を含む航空機製造、アルミ生産、ストレージ機器、誘導ミサイルなどの軍装備品が含まれている。
具体的には、これら業種を対象とする投資によって海外投資家が非公開情報にアクセスできるようになる、あるいは取締役指名などの重要な決定を下す権限を得る場合は、投資案件をCFIUSに報告することが義務付けられる。
財務省によると、CFIUSは投資案件を30日以内に承認するか、さらに踏み込んだ審査を行うかを判断することになる。
米政権の高官によると、規制強化策は試験的に11月10日に導入され、1年以上実施される。その間、恒久的な規制を準備することになる。
ムニューシン米財務長官は声明で「この暫定的規制は米国の重要技術に固有のリスクに対応する」とコメントした。
法律事務所ベーカーマッケンジーのSylwia Lis氏は、今回の暫定的規制によってCFIUSへの申請案件が増えることになると予想。「影響は大きい」とした。