退役後の待遇改善を求める退役軍人デモが中国で多発する中、山東省平度(へいど)市では大規模デモが続いています。10月8日、中国全土から現地に続々と集まる退役軍人を鎮圧するため、当局は鎮圧部隊を増員しています。
8日、安徽省の退役軍人、李さんは新唐人テレビに対し、事件の発端について説明しました。今月4日、平度市の退役軍人38人が大型バスに乗って北京へ陳情に向かおうとしたところ、高速道路サービスエリアで地方政府から派遣された警官隊数十人から暴行を受けました。多くの退役軍人が負傷、うち2人は重傷を負いました。
この事件は全国各地の退役軍人の怒りを引き起こしました。各地から退役軍人らが次々と平度市へ向かい、6日早朝には1000人に達しました。午後には警察側と激しい衝突が起こり、催涙弾を使用する警察に対し、退役軍人は消火器や木の棒で応戦しました。警察側は夜にはデモを制圧し、退役軍人らは退散を余儀なくされました。
安徽省の退役軍人 李さん
「一部の戦友が殴られて負傷し、市内の病院に送られたが、骨折した者もおり 粉砕骨折の者もいる。負傷者は数十人どころではない。程度の差はあるが 最初の38人がみな負傷し、この数日でまた怪我人が出た。数十人で済むはずがない」
現場にいた退役軍人によると、7日朝8時すぎに、広東省や河南省の退役軍人が現地に駆けつけ、解散させられた退役軍人と合流。警察が厳しく警戒する中、市政府広場に向かいました。その間、デモ隊と警察側との間でたびたび衝突が起こり、デモ隊は木の棒で応戦して囲みを突破しました。
安徽省の退役軍人 李さん
「現在平度市には1000〜2000人の退役軍人がいるはずだ。現地にはもっと大勢が向かっていたが、途中で当局に止められてしまった。昨日から警官隊が急に増員され、デモ隊を何重にも取り囲んでいる」
7日夜、デモ隊がさらに膨れ上がったため、当局はこれまでデモ隊の対応に当たっていた青島市付近の警官に加え、他の地域の警官も多数動員しました。現地には武装警察車両と武装警官が大量に投入されたほか、一部車両には大型機関銃も装備されていたとのことです。
上海の退役軍人 陳さん
「現地は現在、外部からの退役軍人が入れないよう封鎖されている。つまり外から人が入れず、基本的に内部の人数は増えない。高速道路でも退役軍人が止められ、外からは誰も現地に入れない状態だ」
警官隊のほか、民間の警備会社もデモの制圧に動員されたもようです。8日朝、インターネットには、政府の呼びかけに応じ、デモ現場に全国から集まったいわゆる「邪悪な勢力」を一掃するため、警備員全員に集合を命じる民間警備会社の緊急通知の画像が投稿されました。
地元市民によると、8日にも河南省や遼寧省からの退役軍人らが、当局の封鎖を突破して現地入りしました。
平度市民 李さん
「全国の退役軍人らが連日 平度市に駆けつけている。特殊警察 武装警察 警察が大勢出動し、道路を封鎖している。退役軍人はこれらの道路を避け、村を通り平度入りしている。(市政府)広場では高圧ホースや唐辛子スプレーで制圧し、動かない人は強制連行している。仕方なく退役軍人らは道路の脇に場所を移している」
平度入りできない一部の退役軍人は、陳情のため北京に向かっています。一方、北京の退役軍人によると、北京でも警察当局が退役軍人らを拘束しており、緊迫した情勢が続いているとのことです。このほか、9日には、内モンゴルや江西省でも退役軍人による抗議活動が行われました。
10日現在、平度市にはまだ300人あまりの退役軍人が残って抗議を続けていますが、当局によって孤立させられた状態です。市内の至る所で特殊警察が警備に当たっており、退役軍人らに食品や水を届けに行った地元市民も当局に一時拘束されたそうです。