【動画ニュース】中国製のマザーボードにスパイチップ 人民解放軍が関与

米ビジネス誌、ブルームバーグ・ビジネスウィークは10月4日、中国の工場でアメリカ向けに生産されているマザーボードに、悪意のあるチップが埋め込まれていることを示す詳細な調査報告を発表しました。これには中国軍部が関与しており、現在までに、アップルやアマゾンなど30社近い企業がこの影響を受けていると指摘されています。

ブルームバーグ・ビジネスウィークによると、アマゾンが2015年、画像処理技術企業エレメンタル・テクノロジーズの合併買収に当たり、同社製品の安全性を検査したところ、エレメンタル社サーバーのマザーボードから、設計図にない米粒大のチップが発見されました。このチップはメモリ、ネットワーク接続機能、情報処理能力を備えていました。

アマゾンがアメリカ政府に通報し、情報業界に大きな衝撃が走りました。その後、3年間にわたり詳細な調査が行われ、エレメンタル社のサーバーの製造者はアメリカのスーパーマイクロ社製だったことが最終的に確認されました。スーパーマイクロ社のマザーボードはほぼすべてが中国で製造されています。

アメリカの調査スタッフは、中国政府が仲介者を通じてスーパーマイクロ社の下請け業者4社と接触し、工場責任者に賄賂を贈り、協力しなければ工場を閉鎖すると脅していたことを突き止めました。工場はやむなく政府から提供された悪意のあるチップをマザーボードに埋め込むことに同意しました。

このチップは中国人民解放軍のハードウェア攻撃専門部門で設計、製造されたもので、非常に小さいうえ、見た目が一般的な部品に似せてあるため、発見が難しいとされています。

これはサプライチェーンのおおもとでハードウェアを直接改ざんするという、アメリカで最も深刻なハッキング事件となりました。

在米ネットセキュリティー会社7Layer Labs責任者 張健氏

ハードウェア攻撃により、すべてのネットワーク指揮系統の破壊、コントロール、コマンドの改ざんなどが可能になる。これは我々が考え得る中で最も深刻で、最も被害を受ける攻撃の1つだ。民間人がこれを行うのは不可能だし、敢えてここまでやることはできない

このチップの影響を受けたとされる企業は今のところ約30社で、アップルやアマゾン、大手銀行、そしてアメリカ政府から業務委託されている企業の名も挙がっています。

アメリカ政府の情報関係職員は、スーパーマイクロ社がマザーボード世界最大手で、100以上の国に900社以上の顧客を抱えていることを挙げ、スーパーマイクロ社に対する攻撃は全世界に影響を及ぼすとしています。

在米ネットセキュリティー会社7Layer Labs責任者 張健氏

ハードウェア攻撃を調査するのは非常に難しい。アマゾンのような大手テクノロジー企業はこうした調査が可能だろうが、他の会社は難しいだろう。どれだけの米国企業がこの問題に直面するだろうか

ブルームバーグ・ビジネスウィークは、中国当局の目的は付加価値の高い企業秘密や、センシティブな政府ネットワーク情報を長期にわたり入手することだと分析しています。

 
関連記事