トランプ大統領は先日、日刊紙USAトゥデイのコラムで、民主党が提示する国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」を痛切に批判しました。
大統領は文章の中で、この国民皆保険制度は、実質的には政府が管理運営する単一の健康保険支払いシステムを構築することが前提となっており、民間の保険と雇用者が提供する保険をすべて排除するものだと述べています。
米国企業研究所健康保険政策専門家、米国議会予算局の前局長 ジョゼフ・アントス氏
「医療保険分野について言えば、この分野に向けられる資金が減少し、投資が減り、イノベーション力が低下し、新たな治療法の研究開発が減少し、サービスの待ち時間が長くなるのは確実だ」
大統領は、老人の場合は自分でプランを選ぶ権利がないとして、一旦施行された場合最初の10年間で32億6000万ドル、日本円でおよそ3665億円が必要になると指摘しています。
ジョゼフ・アントス氏
「この案は国の支出を大幅に増やす恐れがある。これが意味するものは増税だ。また必ずしも誰もが必要な保障プランを得られるとは限らない」
大統領は、その結果国民が医療保険を得られなくなり、最終的には現行の連邦医療保険「メディケア」の一連のサービスもすべて失う可能性があると認識しています。また、この案は左派勢力が社会主義を実現させるための第一歩であるとも指摘しています。
ジョゼフ・アントス氏
「(メディケア・フォー・オールは)社会主義(形態における制度)の別の姿だ。だがこれは連邦政府がその統制力を増したことの表れであるのは確かで、抵抗が予想される」
この記事の掲載日、トランプ大統領が「最低価格法」と「患者が薬価を知る権利の保障法」の2つの法案に署名したことで、患者はより安価な薬の購入方法を知ることができます。また処方薬とジェネリック医薬品の価格の低減プランには、メディケアプランの中の保険部分(メディケアパートD)の薬価が含まれており、高齢者に対するサービスも保障されています。
トランプ大統領
「我々は、メディケア・プログラムの中の老人に対する過剰な治療費徴収を止めさせるために行動を起こし、今年だけで数億ドルもの薬代を節約することができる。メディケアの処方箋保険部分については、我々は薬価を引き下げる交渉に有益な新たな方法を採用している薬価を引き下げるための新たな方法を採用している。我々が行動を起こしたことにより競争が促進され、コストが下がり、メディケアの処方箋保険部分の保険料は二年連続で大幅に引き下げられる」
新たな法案の通過は、5月に大統領が表明した薬価引き下げ策の一部で、これにはファイザーを始めとする製薬企業15社の薬価引き下げ、値上げの凍結あるいは延期が含まれています。大統領は、共和党は今、既往症(きおうしょう)を保険対象に入れることに尽力していると表明しています。
大統領はコラムの中で、中間選挙の後に民主党が下院で過半数を占めた場合、アメリカは社会主義へとかじを切る可能性があると有権者に警告しています。