貿易摩擦、企業に漠然とした不安感 直接的影響は出てない=日銀大阪支店長

[東京 18日 ロイター] – 日銀の山田泰弘大阪支店長(理事)は18日、本店で開かれた支店長会議の終了後に会見し、米中間の貿易摩擦の影響について、近畿地区の企業経営者は漠然とした不安感を持っているが、現状で直接的な影響はみられていないと述べた。もっとも、サプライチェーン(供給網)がグローバルに複雑化する中で、先行きの不確実性を指摘する声が多いとも語った。

山田支店長は、激化する米中貿易摩擦が近畿地区経済に与える影響について「漠然とした不安感を指摘する企業経営者が多い」としながらも、「現状は直接影響を受けているという先はみられていない」と語った。

もっとも、サプライチェーンが複雑化している中で、「影響がどのような形で出るかわからないという不確実性を指摘する人が多い」とも指摘し、心理面への影響を含めて注視していく姿勢を示した。

9月4日に日本に上陸した台風21号は関西国際空港の一時閉鎖など大きな被害をもたらしたが、山田支店長によると、台風によって落ち込んだ訪日外国人客(インバウンド)による消費は、交通インフラの復旧とともに「台風前の好調さを取り戻しつつあるとの声が多く聞かれている」という。

輸出と生産への影響では、関空が一時閉鎖となる中でも他地域の空港の活用など「企業の代替輸送の取り組みが進むもとで、堅調な需要を背景に増勢を維持している」との認識を示した。

もっとも、国内の陸上輸送を含めた代替ルートの継続といった「物流面の復旧が長期化した場合、輸出・生産の伸びを抑制することが懸念される。動向を引き続き注視したい」と語った。

(伊藤純夫 編集:田中志保)

 
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