日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはない=白川前日銀総裁

[東京 22日 ロイター] – 白川方明前日銀総裁(青山学院大学特別招聘教授)は22日、都内で講演し、日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはないと述べた。白川氏は、日本経済の根本原因は、急速な高齢化や少子化に経済・社会が適合し切れていないことだと指摘。財政や日本経済の持続可能性に取り組むことが重要だと強調した。

白川氏は、2013年1月に出した政府・日銀の共同声明について「日銀として譲ることのできない基本原理を政府との合意文書に明記、全て書き込んだ。(物価安定目標の)2%は、経済の改革が進むことが前提としている」と説明した。

金融政策の出口議論については「金融政策の出口と言うのは適切ではない。金融政策それ自体というよりは、財政の持続可能性であり、日本経済の持続可能性。日本全体として持続可能性にしっかりと取り組むことが最大の出口戦略。金融政策の出口と言うと問題が矮小化する」と述べた。

現行の金融政策についての評価については「第3者として語る資格はない」とした。そのうえで、これまでに日銀が行った非伝統的な金融緩和政策は金融システム安定を守るという効果があった一方で、「問題がこれによって解決すると思ったとすれば最大のコスト」と指摘した。

(清水律子)

 
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