熊本市南部を流れる加勢川は、水前寺成就園(水前寺公園)の湧き水から始り一級河川の緑川と合流し有明海に注ぎます。この加勢川は川幅が狭く蛇行しており、氾濫しやすい川のため昭和初期に河川の大改修が行われました。
改修工事により、緑川との合流地点近くに大きな堰が造られたため漁船が航行できなくなってしまいました。そこで加勢川の横を流れる緑川を経由する良い方法はないかと検討されたのですが、一つ問題がありました。加勢川と緑川は水位が違うため直結はできません。そこで二つの川の水位調節のできる運河が考案され、完成したが中無田閘門(なかむたこうもん)です。閘門とは水位の高低差の大きい運河や河川などで船舶を通過させるために水量を調節するための水門のことです。水位の高い加勢川側(写真奥)の木製ゲートを開いて船が入り、ゲートを閉じ、水量調節をしてから手前のゲートを開け、緑川へ渡ります。季節により川の水位が違うため、水量調節には冬で30分、夏で1時間くらいかかるそうです。ちなみに木製ゲートが使われているのは、日本ではここだけだそうです。
太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の規模とは比べようもない可愛い運河ですが原理は同じですよね。昭和17年(1942年)に完成した「ミニパナマ運河」は今も現役で活躍しています。