中国当局はアフリカ豚コレラの感染状況について、16の省と直轄市で発生が確認されたと発表しました。一方、台湾行政院農業委員会は、中国はもはや蔓延を制御するすべを持たないと見ています。台湾行政院は台湾へのウイルス侵入を阻止するため、肉製品の持ち込みを全面的に禁止し、違反者には最高30万台湾ドル、日本円でおよそ110万円の罰金を科すと決定しました。
行政院による動物伝染病防止条例の改正によって、今後台湾への入国に際し肉製品を持ち込んだ場合、より高額の罰金が科されることになります。
台湾行政院農業委員会動植物防疫検疫局・馮海東局長
「罰金の最高額が15,000元(約5万5000円)から30万元に引き上げられる。今後台湾では違反状況に基づき改正し、 現在の罰則基準を修正する 」
中国国内での流行が終息する様子はなく、当局はもはやお手上げの状態です。台湾政府はこのほど検査を厳格化し、7日には感染症予防に対する訓練を行いました。アモイと台湾の金門島、馬祖島を結ぶ限定的な通交ルート「小三通」が検疫の抜け穴となる可能性が憂慮されてのことです。
行政院農業委員会・黄金城副主任委員
「肉製品の持ち込み禁止措置は、すべての肉製品に適用する。鶏、アヒル、ガチョウなどはアフリカ豚コレラに感染しないが、鳥インフルエンザの感染問題がある。よって類似する肉製品は生でも加工済みでも台湾に持ち込むことはできない」
中国でアフリカ豚コレラの流行状況は、国営メディアの発表だけでも現在16の省と直轄市で感染が確認されています。当局が感染状況を隠匿(いんとく)していることに加え、ウイルスが人に感染するタイプに変異する可能性のあることを中国人が知らされていないことも、水際対策の抜け穴を形成しています。最近、中国国内では路上に病死した豚が放置されている様子を市民が車から撮影し、その動画が大量に転送されました。
感染が確認されて以来、中国の豚肉の価格は25%上昇しました。台湾がアフリカ豚コレラに汚染された場合、台湾の産業全体に2000億台湾ドル、日本円でおよそ7390億円を超える経済損失が生じると予想されています。