日産株が2年4カ月ぶり安値、ゴーン会長逮捕で 三菱自も下落

[東京 20日 ロイター] – カルロス・ゴーン会長らの逮捕を受け、20日の東京株式市場では日産自動車<7201.T>が前日から一時6%超下落し、取引時間中としては2016年7月11日以来、2年4カ月ぶりの安値を付けた。

ゴーン容疑者が会長を兼務する三菱自動車工業<7211.T>株も一時7%超下落した。

東京地検特捜部は19日、ゴーン容疑者と日産代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者の2人を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで逮捕した。ゴーン氏は仏ルノー<RENA.PA>、日産自、三菱自で会長を務め、3社連合の中心的役割を果たしてきた。同氏の逮捕により、連携体制の維持に支障が生じる可能性が懸念されている。

いちよしアセットマネジメント・上席執行役員の秋野充成氏は「3社連合の行方か不透明になった。日産の企業文化の問題点も改めて嫌気されている」と指摘。株価については「ゴーン会長が残っても去っても業績には関係がないだろう。今後の経営体制が統制のとれたものになるかどうか。ゴーン氏が主導してきた配当政策が踏襲されるかどうかがポイントになる」とみる。

日産は22日にゴーン容疑者の解職を提案する臨時取締役会を開催する予定。三菱自も20日、ゴーン氏を会長と代表取締役の職から速やかに解くことを取締役会に提案すると発表した。

ただ、市場では新経営体制に期待する声もあり、日産株は、売り一巡後、押し目買いが入った。

「今回の件は企業業績に対する直接的な問題ではない。今後の自動車販売への影響についても、日産ファンは多く、すぐに他社に移るとも思えない」とKHアセットアドバイザー、チーフストラテジストの中島肇氏は指摘。「むしろ新しいトップの下で求心力が高まれば、長期的にみてプラスの影響を与えることも期待できる。日産自の株価が意外と底堅いのは、そうした見方を反映してのことではないか」

菅義偉官房長官は20日閣議後の会見で、逮捕の詳細については東京地検特捜部が事情聴取中であり、コメントは控えるとした。また経済への影響について「政府として事態を注視していく」と述べた。

朝方の東京株式市場ではヨロズ<7294.T>、河西工業<7256.T>など、日産を主要取引先とする部品メーカーの株価が安くなる一方で、トヨタ自動車<7203.T>は小じっかり。自動車セクター内での資金シフトが発生しているとの見方が出ている。

<フランス政府も注視>

ルノーも19日、今回の逮捕を受け、取締役会を早急に招集すると発表した。同日の欧州市場では、株価が8.4%下落し、2014年10月以来の安値をつけ、約20億ドルの時価総額が吹き飛んだ。

マクロン仏大統領は同日、「フランス政府は株主として連合、(ルノー)グループとその従業員の安定性を巡り、引き続き非常に注視していく」と語った。フランス政府はルノー株を約15%を保有している。

一方、ルメール仏財務相は同日、ルノーの安定性や存続性への脅威にはならないとの見解を示した。

同相は記者団に対し、政府はルノーの大株主として日産との連合に引き続きコミットしているほか、ルノーの長期的な存続性を確保する方針で、今後の対応はこれから決定すると語った。ゴーン容疑者の逮捕やCEO交代についてはコメントを差し控える一方、有罪が証明されるまでゴーン氏は無罪と見なすべきと指摘した。

 
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