中国当局の国民に対する監視は強化の一途を辿っています。北京市は2020年末までにすべての居住人口をカバーする「個人信用スコア」計画を完了させる見込みです。このスコア制度は市民に一生涯ついてまわります。
11月19日、北京市共産党委員会は『ビジネス環境をさらに向上させるための北京市アクションプラン』を発表し、2020年末までに北京市で社会信用条例に関する法整備を完了し、信用スコアの高い個人や法人に対しては、市場への参入許可、公共サービス、旅行や移動、起業や求職などの分野で常に許可を確約するが、信用スコアの低い場合はいたるところで制限を設け、さまざまな面で身動きが取れないようにすることを正式に確定しました。このスコア制度は市民に一生涯について回ることになります。
中国国務院はこれに先立ち、2020年までに「社会信用システム」を構築し、科学技術を通じて金融信用情報、個人の行動や企業の違法行為などを記録することにより、国民や企業に対し奨励または処罰を行うと発表しました。ただし、もともとの計画ではスコア制度に言及してはおらず、19日に北京市が公布した新計画で「個人信用スコア」により市内全域のビジネス環境を統制することが盛り込まれました。
山東大学 張教授
「現代のビッグデータや、さまざまなツールを手に入れた当局が真っ先に考えたのはこの社会をいかに統制するかだ。民主運動家や権益保護推進者、知識人の間では、このスコア方式が反体制派を規制する手段になるとの懸念が広がっている。これは人権を侵害し、人類共通の価値観に背くものだ」
北京市が推進するこの政策は、ジョージ・オーウェルの反ユートピア小説「1984年」を思わせます。この小説でオーウェルは、全体主義国家における監視社会の様子を描きました。
湖南省の人権活動家 何家維氏
「こうした邪悪な政権は盛大な年越しを行うために、庶民から絶えず搾り取る。庶民の命も、武力も、権力も彼らの手中に収められている。何をしようと当局の勝手だ」
山東大学 張教授
「中国政府が現在直面している最大の問題は、やはり政治・経済をいかに安定させてゆくかという点だ。実際、政府は社会統制に努力していると強調している」
計画によると、将来的にはデータ、行動、措置の3つのリストを使って、北京の市民と企業に対する「個人信用スコア」試験システムが構築されます。その点数の計算方法は明らかにされていませんが、関連データが個人の将来のビジネスや公職への就職、旅行、求職、起業などの分野に影響を与える可能性があると明確に示されています。