【動画ニュース】著名な中国人報道写真家が新疆で当局に拘束 妻がツイッターで訴え

アメリカ在住の著名な報道写真家、盧広さんが新疆ウイグル自治区で、警察当局に拘束されたもようです。盧さんの妻が、11月3日夜から夫と連絡が取れなくなっていると、ツイッターで明かしました。

盧さんの妻、徐小莉さんは11月26日、ツイッターアカウントを取得して事件の詳細を明らかにしました。徐さんによると、撮影指導などを目的に友人から新疆ウイグル自治区へ招聘された盧さんは10月23日にウルムチに入りました。31日にカシュガルを尋ねてから11月3日にウルムチに戻りました。その間は連絡が取れていましたが、3日夜から消息が途絶え、この後友人1人と参加を予定していた、四川省大涼山地区での慈善活動にも姿を現しませんでした。

徐さんが手を尽くして調べたところ、盧さんと盧さんを招聘した友人はいずれも現地治安当局によりカシュガルに連れ去られたことが分かりました。その後徐さんが盧さんの戸籍のある浙江省永康市の関連部門に問い合わせたところ、関連部門も盧さんが新疆の治安当局に連れ去られたことを認めました。徐さんは、夫の足取りが途絶えてから20日以上になるが、拘束通知などは一切届いていないとし、現地警察に何度電話をかけてもつながらないと語っています。

今年57歳の盧さんは、家族と共にニューヨークに居住しています。1993年から報道写真家として、中国の環境汚染、麻薬やエイズ患者の現状など数々の社会問題に焦点を当て、こうした問題を世界に訴えてきたことで知られています。その活動が評価され、ユージン・スミス賞を始めとする数々の国際的な賞を受賞してきました。

中国の著名人権活動家、胡佳氏

「私たちはエイズ関連の社会問題を取り上げる際、盧氏が撮影した写真をよく使用している。(彼の写真には)人の心を揺さぶる力が込められているからだ。私たちの活動は危険にさらされている。私たちが社会の暗部、社会の傷にスポットを当てるのを、政府が好まないからだ」

中国の人権活動家、胡佳さんは、盧さんが拘束された理由について、恐らく新疆で看過できない社会問題を撮影したのだろうと語りました。

中国の著名人権活動家、胡佳氏

「新疆で何が起きているのか、みな知っている。職業訓練施設と呼ばれているものが実際には強制収容所だということが焦点だ。そこに入るのは確かに非常に難しい。だが、撮影されたものが(収容所そのものではなくとも)、多数の見張り所や大勢の哨兵、頻繁な検問といった、現地の監視体制の厳しさが分かるものであれば、当局はその公開を許さない」

盧さんの友人の一人でアメリカ在住の中国人芸術家、呉玉仁さんはボイス・オブ・アメリカの取材に対し、盧さんはエイズ患者を被写体に選んだために、当時の河南省政法部門の幹部で、現在は新疆の共産党委員会書記となった陳全国に恨まれることになったとして、盧さんの安否を懸念しています。呉さんはまた、夫を救うために一度帰国したいという徐さんを説得して思いとどまらせたとも語りました。

 

 
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