【動画ニュース】電気自動車の完全監視を行う中国 メーカー200社余りが当局にデータを提供

200社を超える中国国内の自動車メーカーが、ユーザーの自動車位置情報などを中国当局に提供しており、当局もまた中国国内のすべての電気自動車(EV)メーカーに同じ要求を出しています。これにより、民衆に対する監視体制がさらに強化されることになります。

AP通信が11月29日に発表した調査報告によると、中国にある200社余りの自動車メーカーは、ユーザーの自動車位置情報など一連のデータを、車の所有者に無断で当局関連の監視センターに送っています。

これらのメーカーにはテスラ、フォルクスワーゲン、BMW、ダイムラー、フォード、ゼネラルモーターズ、日産、三菱などの大手メーカーや、米国で株式上場した中国EVメーカーNIOの名も挙がっています。

中国政府関係者は、これらのデータはいわゆる公共安全を改善するため、あるいは工業の発展とインフラ計画を促進させるための分析に用いられ、さらに補助金計画における詐欺行為防止のためだと述べています。

一方評論家は、中国で収集された情報量はこれらのニーズを超えており、海外メーカーの競争力を削ぐことに用いられるだけでなく、特に個人のプライバシー保護レベルの低い中国では監視に用いられることもできると説明しています。

米国や日本、欧州など他の主なEV市場でこうしたデータがリアルタイムに収集されることはないとも報じられています。

豪州在住 張小剛博士

この手の自動車は、交通管理や交通状態の最適化を行うため、いくつかのシステムに接続する必要がある。中国政府はこれを利用して、自動車監視を目的に、自動車メーカーに車両データを提供するよう求めている。将来的には、こうした監視システムはさらに完備される可能性がある

自動車メーカーは、中国政府の「代替エネルギー」自動車関連法令に従っているだけだとしています。

しかし、全米中国人学生・研究者自治連合会の陳闖創(ちん ちんそう) 理事は、それを言い訳にはできないと述べています。

全米中国人学生・研究者自治連合会、陳闖創理事

米国では、政府が市民のプライバシー情報を入手しようとしても、特にそれがデータの場合は非常に難しい。裁判所が発行する正式な捜査令状を申請するなど、複雑な手続きが必要だ。このことは、西側のハイテク企業においては顧客のプライバシー保護が暗黙の了解事項になっていることを意味している

陳さんは、西側企業は中国当局の命令に従うという名目で悪事に手を染めてはならず、特に新疆で人権が蹂躙され、現地民族が絶滅の危機にさらされている今の状況において、これは受け入れられないと述べています。

新疆当局は昨年、住民の車両を追跡しやすくすることを目的に、居住者にGPSを装備するよう通達しました。

またウォールストリートジャーナルは6月、中国公安部が7月に、フロントガラスにRFID(電波による個体識別)チップを装備させ車両追跡システムを導入すると報じました。来年1月にはすべての新車に対する装備が義務付けられます。

AP通信の記者は上海の新エネルギー自動車公共データ収集・検測研究センターを訪れた際、このセンターの画面に22万2000台分を超える上海の車両データが表示されるのを見たと語っています。このセンターは非営利機関と称していますが、当局の資金援助により設立されました。

また、2016年に公布された政府規定を例に出し、電気自動車メーカーは車載リアクターから収集された車両データを、各地のデータ収集・監視センターに送っているとも報じられています。

全米中国人学生・研究者自治連合会、陳闖創理事

新たな情報化時代においては、データとは新たな「石油」で、最も価値のある資源だ。中国の法律は個人のプライバシー保障がなおざりで、「国家の安全」を掲げて、情報を生み出す企業に対し、国家安全機関にデータを提供するよう要求する。これらはすべて規定に記されている

自動車メーカーも当初、こうしたデータを貴重な資源とみなし監視センターとのデータ共有を拒否したといいます。ですがある政府顧問は、「報奨を提供するだけで、彼らは我々にデータを差し出す。それが彼らの利益の一部となるからだ」と述べています。

豪州在住の張小剛(ちょう しょうごう)博士は、これらのメーカーは一時の利益に目がくらんで中国当局と取引したが、これは将来自分の首を絞めることになると述べています。

豪州在住 張小剛博士

本当に中国政府にこうした行為を許したら、中国人にとって悪夢となるだけでなく、西側の人間にとっても悪夢だ。なぜなら、すべてをコントロールする政権は、最終的にすべての人間を彼らの目標を実現するための機械とみなすようになるからだ。皆は西側政府に対しロビー活動を行い、法整備を推進して、独裁政権に対するデータ提供をすべての企業に禁止させなければならない。これは(自動車市場に限らず)どんな市場に対してもだ

米国国土安全保障省のマイケル・チェートフ元長官は、中国政府が収集したこれらのデータは、全てを監視する監視システムの一部だと述べ、世界中の自動車メーカーは、企業の価値観から、これは本当に自分たちがやりたいことなのかと、胸に手を当てて考えてみなければならないと促しています。

 

 
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