中国各地では生活苦を訴える退役軍人の陳情や抗議が続いていますが、近日、湖北省潜江市(せんこう-し)でも退役軍人百人余りが、市政府ビルの前で抗議活動を行いました。
100人余りの退役軍人は、元士官や志願兵、ベトナム戦争参戦軍人などです。11月30日、湖北省潜江市の市政府ビルの前で横断幕を掲げ、抗議を行いました。
地元の住民、伍立娟(ご りつけん)さんによると、元軍人らは当日午前8時から12時頃まで、ずっと市政府ビル前で抗議をしていたそうです。
元銀行職員 伍立娟さん
「今回当局は説得のみだった。市の共産党委員会書記が新任で、まだ市のことがよくわかっていない。なので今回は秘書が出てきた。市の軍人事務部の局長や陳情局長も現場に来た」
伍さんによると、今回当局は武装警察や特殊警察による鎮圧はしなかったそうです。軍人事務局の局長がスピーカーを持って、元軍人たちに道路を塞がないように要求し、治安維持職員に指示して元軍人らを管轄区に連れ戻しました。
元銀行職員 伍立娟さん
「前回山東での抗議では、警察が元軍人らに暴力を振るい、流血事件になったが今回それはなかった。江蘇省での抗議では、武力を使うと全国に応援を呼びかけると言われ、当局はその影響を恐れていると思う」
今回、警察による暴力はなかったものの、退役軍人らの訴えは解決されませんでした。当日午後、元軍人らが北京に陳情に行くために駅に向かったところ、市の幹部らが駅まで行って、家に帰るよう元軍人らを説得しました。
情報によると、今回抗議を行った元軍人らの年齢は50歳前後で、退役後収入源が全くなく、毎月600元、日本円でおよそ1万円未満の補助金に頼っているそうです。さらには、年金も医療保険もないため、生活苦に耐えきれず政府に助けを求めていますが、いまだに解決されていません。