中国各地ではリストラの嵐が吹き荒れ、大量の失業者が農村へ帰郷しています。多くの企業が新卒者の採用中止や縮小に踏み切り、大学生の就職難も予想されるなか、ネットに投稿されたある文章が話題になっています。「2018年、生きるよりも大切なことなどない。個人にとっても国にとっても食い扶持(くいぶち)を稼ぐことは絶対的な真理だ」
11月28日、中国の求人サイト「智谷趨勢」のウィーチャット(微信)公式アカウントに「2018年、生きるよりも大切なことなどない」と銘打った長文が投稿されました。文中には冒頭から次のように記されています。「『大規模リストラ』のニュースが巷にあふれている。百度(バイドゥー)やアリババを始めとするIT大手が軒並み今回のリストラの嵐に巻き込まれた。沿岸部のOEM工場は続々と倒産や休業に追い込まれ、富士康(フォックスコン)では34万人がリストラされたと聞く。金融や不動産業界でも首切りが行われている。天風証券が求人サイト「前程無憂」の4月から9月の求人広告の数を当たってみたところ、求人広告が285万件から83万件に激減していたことが分かった」
深圳市の印刷業者、時さん
「今年の下半期、明らかに工場のリストラが目立った。ものすごい数の企業がリストラを行い、工場の規模を縮小し、大量の失業者が出た。失業者はみな故郷に帰った。電気街にも以前のような賑わいはない。今はどこも閑散としており、訪れる人も少ないので、レストランや娯楽施設は自然と衰退している」
中国メディアは、ファーウェイやアリババを始めとするIT大手各社から、新卒者の採用を中止又は縮小する声が聞かれると報じました。ファーウェイなど複数の企業がこれを否定していますが、不安は払しょくされていません。今年は特に史上最多の820万人を超える新卒者が控えているため、雇用情勢はますます厳しくなる見込みです。
卒業を控えた中国の大学生、劉さん
「私の専門は金融だが、銀行や証券会社といった金融業界の企業では今年確かに給料のカットや採用縮小が行われている。私は今修士課程の試験を受ける準備中だ。学部生の間に学んだ内容はあまりにも浅すぎるので、今就職したくない。基礎をしっかり固めたいので、大学院への進学を選んだ」
求人サイト「智谷趋势」の掲載文の最後はこのように結ばれています。「就職は最大の国民生活だ。景気の循環の中から観察すると、リストラや給料引き下げがひとたび増加したら、消費者信頼感指数がすぐに低下し、財布のひもがますます固くなる。これは中国が輸出主導、投資主導型経済から、消費型経済へと移行することによって生まれた試練だ。移行を加速し、改革を拡大するよりほかに、未来を生きるすべはない」