709弁護士一斉拘束事件で連行され、まだ裁判が行われていなかった最後の弁護士、王全璋(おう・ぜんしょう)さんの裁判が12月26日に秘密裏に開廷しました。王弁護士の関係者は当局から厳しく監視され、裁判所の外でも厳重な警戒態勢が敷かれました。
「王全璋を釈放しろ!王全璋は善人だ!」
中国の人権派弁護士、王全璋さんは「国家政権転覆罪」に問われています。王さんが国家機密に触れたとして、26日に天津市第二中級人民裁判所で秘密裏に開廷されました。
「公民力量」創設者 楊建利氏
「この理由は完全にでっち上げだ。人権派弁護士の王全璋が、どうやったら国家機密に関わることができるのか」
中国の人権派弁護士 謝燕益氏
「王全璋が起訴されたこれらの事件は、国家機密と全く関係ない」
スウェーデンの人権活動家、ピーター・ダーリン氏は26日、天津の検察が2017年2月に提出した起訴状を公開しました。検察は起訴状には、王さんの「罪状」として次の3つを挙げています。(一)ピーター・ダーリン氏らと人権擁護機関を設立し、法的支援と人材養成を行った。(二)建三江七星留置場に出向いてデモを行った。(三)法輪功関連事件で弁護を引き受けた。
中国の人権派弁護士 謝燕益氏
「一つ目については法で認められた弁護士の業務の一つで、公益性を持った法的業務でもある。二つ目については、王は法輪功学習者や政府に陳情を行った人々が拘留されている悪名高い建三江刑務所を放置できず、実態を暴いただけだ。この行動は政権転覆行為とみなされたが、法治体制や人権を守る正義の行いであるのは明らかだ。三つ目については、王弁護士は事実の尊重し、法律を守り、迫害されている法輪功学習者を弁護した。弁護士の業務である「弁護」という行為が、政権を転覆させるとみなされた。笑止千万だ」
王全璋弁護士は2015年の709弁護士一斉拘束事件で当局に連行されたまま、3年半もの間不当に収監されています。王さんの家族や、家族から弁護を依頼された弁護士もこの3年間、面会すら許されていません。今回の法廷でも、当局は王弁護士の関係者の傍聴を禁じています。
楊建利氏
「中国政府は通常、709事件で拘束された人権活動家や弁護士を拷問し、彼らが暴力に屈したら公開で審理を開始する。私が思うに、王弁護士は否認を貫いているのではないか。もう一つ考えられるのは、王弁護士が拷問で大きな傷害を負い、このことを社会に知られないよう、裁判が非公開になったのではないだろうか」
謝燕益(しゃ・えんえき)弁護士によると、王弁護士は開廷後すぐに国選弁護士の劉衛国氏を解任しました。よって裁判所は規定により、王弁護士を担当する新たな弁護士を選出して、少なくとも15日間の弁護を依頼しなければなりません。さらに王弁護士は規定に従い、証拠の追及や収集、事件の調査、ビデオ撮影などを要求することができ、どの権利を行使しても、審理が延長されるのは確実です。しかし、裁判所はその日の午後3時には審理を終了し、後日判決を言い渡すと発表しました。
中国の人権派弁護士 謝燕益氏
「司法当局が正しい手順を踏まずに王弁護士の手続き上の権利を奪ったと疑うだけの理由がある。こんなにいい加減に裁判を終了させたのは、(真実を)ごまかすためだ。隠せば隠すほどボロが出る」
世界の16の弁護士団体、香港弁護士会、アムネスティ・インターナショナルなどの団体は先日、王弁護士を直ちに釈放するよう中国当局に要求する声明を発表しました。