米国メディアはこのほど、米国は2010年からすでにファーウェイをターゲットとして調査を開始していたと報じました。また同社をはじめとする中国企業は、中国政府の対外的な業務を代表して行っており、中国政府の延長だとみなされているとも報じています。
12月18日のニューヨークタイムズ中国語ウェブサイトで、米国の前連邦法執行官からの話として、米国の情報防衛シークレットサービスと連邦検察官が2010年からファーウェイをはじめとする中国企業の調査を開始していたと報じられました。調査の結果、これらの企業は中国政府の延長で、中国政府を代表して対外的な事業を行っているとみなされています。
米国在住の時事評論家 藍述氏
「これらのハイテク企業の背後には、中国共産党の影が色濃く存在している。特にファーウェイは、中国の国家安全部門や軍の情報部門に深く関わっている」
前連邦検察官の1人は、「諜報活動」や「国の安全にかかわる犯罪」を行ったことを理由にファーウェイや企業幹部を告発すると、機密情報の出処が暴露される可能性があるため、香港上海銀行を切り口にしたと説明しています。さらに、孟晩舟氏は「銀行詐欺」の疑いで逮捕する方がもっと確実な方法であると語っています。
豪州クイーンズランド大学の元政治学教授 邱垂亮氏
「彼らが国家間のいわゆる諜報活動に関わっていたことを示す証拠を法律分野のさまざまな証拠から探し出そうとすると、かなりの証拠を集めなければならず、非常に難しい。だから彼らは、孟晩舟氏が米国の一部の銀行関連規定や国際金融分野の法令に抵触したことを理由に、ファーウェイを俎上に載せた」
ファーウェイは香港上海銀行の古くからの取引先です。2013年にロイターは、ファーウェイが子会社「スカイコム(星通技術有限公司)」を通じてイランと秘密裏に取引を行っていると報じました。銀行側が当初、米国のイラクに対する経済制裁を挙げて、イランとの取引に懸念を示したところ、孟氏は資料を作成してPPTで銀行側にプレゼンテ―ションを行い、ファーウェイとスカイコムのつながりを否定しました。その後銀行の求めに応じて、ファーウェイはこれらのPPT資料の英語版を香港上海銀行に渡したところ、銀行は最終的にこれを米国の検察へ提出しました。
米国が公開したZTE(中興通訊)の内部資料にも、ZTE上層部がファーウェイを手本に、いわゆる「関連性のない企業」を通じてイランや北朝鮮との業務を推進するよう提案したことが示されています。文書では、ファーウェイは企業名称ではなくコード「F7」で記されていましたが、米国はこのコードがファーウェイを示していると結論付け、同社に対する審査を強化しました。
米国在住の時事評論家 藍述氏
「ファーウェイが中国政府の情報部門と国家安全部門から重視されている以上、西側政府や大型のエネルギー、交通、軍事分野の設備にファーウェイの技術を導入した場合、深刻な安全上の問題が生じる可能性が高い」
2018年8月、米国の検察は密封文書で孟氏の起訴を提起し、ブルックリンの連邦判事が孟氏の逮捕令状に署名しました。孟氏がカナダのバンクーバーに不動産を2件所有していたことから、米国の情報部門高官は、孟氏がカナダに立ち寄るのは時間の問題だとみていました。
台湾の企業家 社会活動家 高為邦氏
「今回の孟晩舟氏の逮捕は、イランと取引したかどうかを調査するためだけのものではない。米国政府が追及したいのは、ファーウェイが中国当局のために情報収集しているのかどうか、特に同社の設備を通じて経済や軍事分野の情報が洩れているかどうかという点ではないか」
英日刊経済紙、フィナンシャル・タイムズは12月18日、ファーウェイ創業者の任正非(にん・せいひ)氏のバックには、江沢民が控えていることがうかがえると報じました。任氏は1994年に江沢民に会い、報告を行いましたが、その数年後、ファーウェイは中国軍部から最初の全国規模の通信ネットワーク構築事業を請け負いました。
米国在住の時事評論家、藍述(らん・じゅつ)さんは、任氏が1982年にはすでに全国代表大会の代表を務めていたことから、同氏が中国当局から深く信頼されていることが分かると語っています。1988年、任氏はファーウェイのCEOに就任し、2000年には中国の富豪トップ50にランク入りしました。
米国在住の時事評論家 藍述氏
「(1988〜2000年)この12年はまさに、江沢民が中国で政権を掌握するための重要な時期だった。江沢民の息子、江綿恒によるファイヤーウォール「金盾」プロジェクトもこの時期に段階的に進められた」
藍述さんは、ファーウェイの成長過程と金盾プロジェクトは、ほぼ同時期にスタートし、発展してきたと述べています。