【動画ニュース】北京の小学生ハンマー殴打事件 北京市の出稼ぎ労働者排斥と関連

1月8日に北京市内の小学校で児童20人がハンマーで殴打される事件が発生しました。犯人は元学校職員で、雇用契約が更新されなかったことを恨んでの犯行でした。ある事情通は、この事件は北京市が出稼ぎ労働者を排除していることに関連していると指摘しています。

8日午前11時20分ごろ、宣武師範学校付属第一小学校で用務員を務めていた賈(か)容疑者が、児童の頭部をハンマーで殴打して、20人にけがを負わせました。そのうち3人は重傷を負っています。

賈容疑者は黒竜江省出身の49歳で、派遣労働者として学校に勤務し修繕作業などに従事していました。報道によると、賈容疑者の雇用契約は今年1月に満了し、人材派遣会社が契約を更新しなかったことが犯行に及んだ理由でした。

しかしある事情通は、今回の事件は北京市が出稼ぎ労働者を排除していることと関係があると指摘しています。西城(せいじょう)教育局が各学校に対し、出稼ぎ労働者を雇用しないよう要求したため、それ以降は教育委員会から職員が派遣されるようになりました。しかし解雇条件は学校側と解雇される職員との話し合いで決定され、支払われる賠償金も学校が負担することになっているといいます。

この人物はさらに、先日自身の職場でも勤続年数が20年以上の補修工が突然解雇されたことを明かしました。「彼らに受け入れてくれる派遣会社を探させて、見つからなかった場合は追い出しているとして、若いころから20年以上の歳月をここに捧げてきたのに、最終的には「弱い者がもっと弱い者をいじめる」構図ができあがったと語りました。

北京の人権活動家 胡佳氏

「不平等な社会、法治社会ではなく為政者が統治する社会においては、不公平な目に遭った人物が法に訴えず、解決できないときに恨みによる報復行為に出ることがしばしばある」

北京の人権活動家、胡佳(こ・か)さんは、北京の小学校のセキュリティ対策は優れていると指摘しています。学校の出入り口には警察と警備員が配置されていますが、今回の事件の場合、犯人は学校内部の人物で、防ぎようがなかったと言えます。

北京の人権活動家 胡佳氏

「北京のような都市はいわゆる政治の中心地だが、学校内で事件が発生した場合、このように警備員を配備してもどうしようもない。ローエンド産業従事者や出稼ぎ労働者を排除しようとしているのに彼らを校内に引き入れているからだ。こうした状況は間違いなく防ぎようがない」

胡佳さんは、報復のために児童を襲ったという行為には怒りを禁じえないが、こうした行為に駆り立てた社会のあり方にも怒りを感じると述べています。

北京の人権活動家 胡佳氏

「この事件が北京市委や市政府、そして彼らが現在行っている各種教育政策と何の関係もないと言えるだろうか。たくさんの人がここで長年生活してきた。彼らが従事しているのはいわゆる社会の最下層のサービスで、若いころから労働力を提供してきた。だがこの仕事が突然なくなってしまった」

胡佳さんは、学校が出稼ぎ労働者を雇うのは賃金が安く上がるうえ、労働法における「5つの保険と1つの積立金」制度といった保障制度も適用しなくてすむからだと語り、現在北京市は出稼ぎ労働者を排除する理由として、北京市の負担軽減を挙げているが、それは理由になっていないと指摘しています。

 

 
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