カナダメディアによると、米国が中国の通信機器大手、ファーウェイの副会長、孟晩舟氏の身柄引き渡しを正式に要請する手続きを進める計画だとカナダ政府に伝えました。身柄が引き渡され、「複数の金融機関に対する詐欺行為」などで有罪になった場合、最高で30年の実刑を言い渡される可能性があるとのことです。
カナダの新聞、グローブ・アンド・メールは21日、カナダのマクノートン駐米大使が明かしたところによると、米国がカナダ政府に対し、孟晩舟氏の身柄引き渡しを正式に要請する方針を伝えたと報じました。
マクノートン大使は、孟氏の逮捕により、カナダが中国から報復を受けたと米国政府に伝えたことも明らかにしています。身柄引き渡しの要請時期については明らかにしていませんが、要請の期限は1月30日とのことで、中国の劉鶴(りゅう・かく)副首相が貿易協議でワシントンを訪れる時期と重なっています。
米国とカナダは犯罪人引き渡し条約を結んでおり、米国から正式な要請があった場合、カナダの裁判所が十分な証拠があるかどうかを30日以内に判断し、司法長官が決定を下します。
昨年12月1日、カナダ司法省はアメリカの要請に応じて、米国の対イラン制裁に反する不正行為に関わった疑いで、バンクーバー空港で孟晩舟氏を逮捕しました。孟氏はその後保釈されましたが、現在カナダ・バンクーバーの自宅でカナダ裁判所の米国への引き渡しに関する決定を待っています。
孟晩舟氏の逮捕後、中国当局は国家安全に危害を加える活動に関わったとしてカナダの元外交官、 マイケル・コブリグ氏とビジネスマンのマイケル・スパバ氏を拘束。さらに麻薬を密輸したとして懲役15年の判決を言い渡されていたカナダ人の男性に、差し戻し審で死刑判決を下しました。これらは孟氏を逮捕したカナダへの報復行為であると見なされています。
中国外交部の報道官は22日の定例会見で、カナダと米国は引き渡し条約を恣意的に乱用していると非難し、孟晩舟氏の釈放を求めました。
ファーウェイの梁華(りょう・か)会長は22日、「製品開発事業や他の部門を見たいという希望があれば歓迎する」とし、孟晩舟氏が自由の身になるよう迅速な決着を求めたいと述べました。
グローブ・アンド・メール紙によると、カナダ安全情報局のリチャード・ファデン(Richard Fadden)元局長は「カナダ政府はファーウェイの危険を無視している。速やかにファーウェイを5Gネットワーク建設から排除すべきだ」と発言しました。現在、複数の西側国家がファーウェイ製品の排除を決めています。