中国の著名人権派弁護士、江天勇(こう・てんゆう)さんの釈放が今年2月に迫っています。しかし家族が先日面会に行ったところ、拷問されていることが伺える様子がみられたと憂慮しています。江天勇さんの妻、金変玲(きん・へんれい)さんは、夫が無事に出獄できるかどうかを注視してほしいと訴えています。
1月20日、江天勇さんの妻、金変玲さんは江さんの妹から「他の709事件関連弁護士の家族とともに18日に刑務所を尋ねたところ、江天勇さんの洋服がぼろぼろだった」と明かされたと公表しました。
江天勇弁護士の妻 金変玲さん
「江天勇自身が妹に、洋服は悪党の手先らにめちゃくちゃにされて着られなくなったと直接伝え、コートと温かい下着、靴や靴下などを買ってきてほしいと頼んだ。つまり衣類はみな、拷問でぼろぼろになったということだ」
江天勇氏は2016年末、709弁護士一斉拘束事件で拘束された弁護士の一人、謝陽(しゃ・よう)さんの妻を尋ねるために湖南省長沙(ちょうさ)市に向かい、その後北京に戻る際に突然行方が分からなくなりました。その後、長沙市公安局から「国家政権転覆扇動罪」の容疑で特定の場所に監禁されていることが明らかになりました。
金さんはツイッターに、江天勇さんが拘束される直前に長沙市看守所の前で撮影した写真を公開しました。この時に江氏は白のワイシャツにスーツを着て革靴を履いています。これらの衣類は本来ならば、釈放時に江天勇さんに返却されるべきものです。
江天勇弁護士の妻 金変玲さん
「心の底から怒りを感じている。夫は拘束されてから6カ月、いわゆる「特定の場所」に拘束され、その6カ月間にどれほどの拷問を受けたのか想像できる。この間を夫がどうやって耐えてきたのか、私には想像できない」
この日の面会では、監督補導官と看守が同伴していたため、江天勇さんは多くを語ることができませんでした。金さんは夫の今後に引き続き関心を寄せてほしいと呼びかけています。
江天勇弁護士の妻 金変玲さん
「夫が2月28日に本当に釈放されるのか、(再度拘束されて)行方が分からなくなるのではないかと憂慮している」
江天勇弁護士はこれまでに、1000人以上の子供が拉致され奴隷として売られた2007年の「山西省奴隷工」事件被害者や、盲目の人権活動家、陳光誠(ちん・こうせい)氏、人権派弁護士の高智晟(こう・ちせい)氏、法輪功学習者に対する弁護など、数々の案件を引き受け、当局から長期にわたる監視や嫌がらせ、脅迫を受けてきました。国際人権団体や弁護士団体、国連の複数の人権専門家らが中国当局に対し、江天勇弁護士の即時解放を求めています。