【牙をむく中国共産党】ムスリム狩り・プロテスタント狩りが本格化

2018年1月9日火曜日、中国の山西省のリンフェン市にあるGolden Lampstand教会が破壊されました。中国人民武装警察は、中国キリスト教徒の取り締まりの一環として教会を取り壊しました。

人権活動家によると、このような抑圧的行為はキリスト教徒の迫害や信仰の自由の否定であり、今日世界中で問題になっている中国の基本的人権の否定でもあります。これらの問題は個人の自由の権利だけでなく「自由」というものの意味そのものにも大きな影響を与え、何億もの国民に影響を与えています。

中国の人口は14億人にものぼります。これは南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ諸国の人口を合わせた数よりも多いのです。

この圧倒的人口数が膨大な数の被害者を生みだします。国境なき人権が提唱する「良心の囚人」とは思想・宗教による理由で不当に逮捕、拘束されている人々をさします。中国は世界中の全宗派において最も多くの良心の囚人を生みだしているのです。専門家によると、信仰や宗教儀式を否定され拘束された人々の数はなんと宗教改革以来最大だと言います。

そこには中国政府から公認されていない、地下に隠れた教会の教徒である福音主義プロテスタントとペンテコスタルプロテスタントが含まれます。半数の中国プロテスタントがこのような孤立した地下教会に所属しているのです。当局による彼らへの弾圧は劇的に激しくなっていきました。彼らは常に標的にされ政府の権力に押さえつけられ、しばしば邪悪なカルト集団というレッテルをはられました。彼らは公安部隊による厳重な監視や暴力、牧師の逮捕や所有地の没収など不当な扱いで苦しんでいるのです。

同時に中国プロテスタント教徒の数は宗教の目覚めとも言える驚くべきスピードで伸び続け、中国プロテスタント教徒の数は1979年以来毎年10%ずつ増えていきました。この勢いで行くと中国はあと12年以内に世界最大のキリスト教国家になるかもしれません。

中国の何百万人といるプロテスタントは、政治活動をしたり政治的な対立運動はしません。しかし中国のような絶対的な忠誠心を要求する権威主義や全体主義国家では、どんな宗教団体も国家権力の脅威なのです。近年中国は宗教団体に対しさらに支配的で干渉的になってきました。

中国当局は権威主義と民族ナショナリズムを正当化する為に、中国の社会哲学的伝統を引き合いに出しています。彼らのような支配的な無神論者にとって、時に宗教団体は脅威なのです。公安はノウルーズのペルシャの祝祭を祝う市民の元にまでやってくる始末です。

しかし緊急課題はこの勢いで中国プロテスタントが急増し、国家による過剰な個人の人権と自由の権利の抑圧、具体的には国家への忠誠心を構築するために全ての市民の私的な読書や会話を記録、監視するような政策と衝突した時にどうなるかです。中国の検閲官はかなり家父長主義で同性間の人間模様を描写しているという理由だけで「The Sims」というテレビゲームさえも禁止にしました。

中国には1000万人以上のカトリックがいます。バチカンとの曖昧な合意はさらに彼らを政府の抑圧に悩むことになるでしょう。

中国地元当局はイスラム教徒のラマダンの断食を禁止し、コーランを焼き払います。キリスト教団非営利団体ChinaAidによると、当局はウイグル自治区の新疆からイスラム教を完全に排除したいのです。

ここでもまた政権は強引に、そして不必要にイスラム教徒との衝突を引き起こし、彼らを煽っておきながら、イスラムが当局に抵抗しているからだと主張しているのです。ウイグル族は新疆の先住民で18世紀頃中国政権の管理下に置かれたばかりです。

今ではウイグル族は人口の半分以下です。彼らは当局により旅行制限され差別の対象にされているのです。しかしもっとも憂慮すべきことは、ウイグル族のイスラム教徒がいわゆる「再教育キャンプ」を強制されていることです。一部の資料によると、およそ100万人のイスラム教徒がこのキャンプに収容され拷問をうけ、無理やり豚を食べさせられたり、アルコールを飲まされたりしているのです。

そしてもちろん1999年以来続く、法輪功学習者の直面している暴力的抑圧についても無視できません。政府の特別機関が法輪功の根絶を目的に設立されました。実際多くの学習者が不当に逮捕され、刑務所や強制収容所に押し込まれた後、不可解に姿を消しているのです。

中国は宗教の自由やその他の人権を脅かしておきながら、国の生活水準を向上させ人権を守ると主張しています。誰もが中国文化は集団主義を重視し、西洋社会のような個人主義ではないことは理解しています。しかしそれは個人の権利を侵してよいことにはならず、国への忠誠心を強制するために個人の権利を侵すことはできません。

中国政権は人権の概念を全く理解していないと言っても過言ではありません。中国政権は「自然権」つまり、政府によって法律が制定される以前から、人間が生まれながらに保持している生命・自由・財産・健康に関する不可譲の権利を保証していません。

人権の考え方は本来、自然権に基づいています。しかし中国でいう人権は、社会から個人に与えられた権利なので「社会」つまり国が権利を与えるなら、同時に国がそれを取り上げることもできるのです。中国の人権は他の法律とおなじ扱いなのです。

中国政府の弾圧の犠牲者達はこれは間違っていると分かっています。彼らは政府により人権を否定されたが、本来人権とは侵すことのできない権利だと理解しています。

真の人権を理解している人々は、少なくとも中国政府が国際人権規範に違反しなくなり全国民が自由な思考と信仰を持つことが許され、互いに平和に暮らせる真の自由な国を築くために動き始めるまで私たちの保護を必要としています。更に彼らは人種や宗教の違う人々が共存できる自由な社会に迎えられることが必要です。

この記事は2018年6月27日、欧州議会において中国における宗教的迫害について、NGO人権団体Human Rights Without Frontiersによって発表されました。

著者アーロン・ローデスは、ドイツのハンブルグに拠点を置く国際人権活動家で大学の講師でありエッセイストです。

この記事は著者の見解でありNTD Japanの見解を反映するものではありません。

 
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