アルゼンチンのパタゴニア地方の辺鄙な場所に、16階建ての高さほどある巨大アンテナが立っています。ここは中国当局が初めて海外に建設した宇宙探査研究センターです。一方、地元住民によると、このセンターは施設全体が高さ2メートルの有刺鉄線に囲まれており、出入りしているのは中国の軍人だそうです。
辺鄙な野外に立っている巨大アンテナ。謎に包まれた建物に、厳しい警備。地元の住民らはここが中国当局が建設した普通の宇宙基地であるとは、あまり信じていないようです。
地元住民 Matias Uran氏
「警備がこんなにも厳しいのは、彼らが何かを守っているからだろう。あるいは何かを調査しているのだろう。月の観測のために、あれほど多くの軍人は必要ないだろう」
当局の公式発表によると、基地の目的は民事利用のための宇宙観測と探査だそうです。当初は自由に見学できると約束していましたが、施設の立ち入りは限定されているとのことです。
地元役人 Maria Espinosa氏
「中国の衛星発射観測部門の幹部と相談し、観光開発プロジェクトにこのアンテナ施設の見学を盛り込むことを望んだが、ダメだと言われた」
2009年、深刻なインフレで危機的な経済状況に見舞われたアルゼンチン政府と、中国当局は秘密取引を行いました。巨額の投資の見返りに、パタゴニア地方の宇宙基地の建設許可を獲得したのです。一方、アルゼンチンの多くの官僚は、これは政府による売国行為であると認識しています。
現在、「ブラックボックス」に喩えられているこの宇宙基地での中国側の運営体制は謎に包まれたままです。一方、中国当局が「宇宙観測センター」を通して西側諸国の情報を収集していると疑われており、アメリカなどは警戒を強めています。
この宇宙基地は2018年4月に運営が始まりましたが、その数週間後、アメリカ政府は、基地が位置するネウケン(Neuquen)州に危機管理センターを建設すると発表しました。そして、中国のこの宇宙基地の実際の用途について、注視しています。