スーパーで買ったものや誰と会っていたかなど、日常生活を監視されたらどう思いますか?
そういった監視が中国ではすでに行われています。世界で最も監視の厳しい中国は、これまでも2億台以上もの顔認証システムカメラを導入してきましたが、国の隅々まで監視するためにさらに4億台を導入する予定です。
独裁国家の監視
中国政権は「我々の監視政策は善良な市民が青空の下、大手を振って歩く分には問題はなく、品行不良の市民にとっては居心地の悪い政策だ」と述べました。
現在、独裁国家はこの不快極まりない監視技術を用いて6万人規模の集団の中から特定の人物を割り出すことができます。共産党に目をつけられている人にとっては厄介な話です。
共産党の規則に従わない者に罰を下す
中国の至る所にはびこる監視ネットワークと悪名高い「社会信用システム」は連動しています。 「社会信用システム」とは共産党の政策に叶う者には恩恵が与えられ、そうでない者には罰を下すというものです。
2020年までにはこの政策も完全に機能を果たすことになります。そしてどの共産主義国家がそうであるように国民には異議を唱える余地はありません。
恩恵には預り金無しにホテルの予約ができたり、光熱費の割引などを受け取ることができます。
反対に罰則は多種多様です。インターネット回線速度を遅くされたり、飛行機や電車での旅行、または子供の通学を禁止されたり、就職活動をしても相手にしてもらえなかったり、買い物をする時なども電子取引を差し押さえられたりします。これらの罰則はほんのごく一部です。
ではどのようにしてポイントを獲得したり喪失したりするのでしょう。例えば、オムツなどの購入は理性ある行動だとみなされ、ポイントを獲得することができますが、酒類を買うことは、合法的に見て、ポイントを喪失することになります。
国民は分類されている
国民は獲得ポイントにより、「信用できる」「標準」「信用できない」という3つのカテゴリーに分類されます。
中国北西部にある新疆ウイグル自治区に住むウイグル人に対しては「標準」と「信用できない」の2つしかカテゴリーがありません。
つまり、共産党にとって信用できるウイグル人などいないということです。
ABCニュースのリポーターがウイグル人の映画監督タヒール・ハマット氏を取材しました。ハマット氏は2017年に中国を脱出してアメリカへ亡命し、アメリカ政府に保護を申請しました。亡命直後、新疆ウイグル自治区に残してきた兄弟たちが行方不明になりました。
強制臓器摘出の可能性あり
全てのウイグル人は顔写真を撮られ、指紋を採取されます。
ハマット氏が自治区にいた頃、見知らぬ人が訪ねてきてデータベースを作成するために生態認証が必要だと言われました。その方法は普通では考えられないものでした。特にウイグル人とっては…
「警察から電話があり、警察署に出向くようにと指示されました」
「私たちは地下に連れて行かれました。そこに並んだ小部屋にはそれぞれ手かせ、足かせがぶら下がり、犯罪者が紐で縛りつけられる鉄製の椅子『虎の椅子』が置かれていました。私は20人から30人ほどいた小部屋へ押し込まれました。その部屋にいたのはみんなウイグル人でした」
「妻と私の順番が回ってきて、まず、採血されました」
最後に顔をいろんな角度からスキャンされたようです。
ハマット氏は採血される理由がわかりませんでしたが、ようやく健康診断ではないことに気付きました。これがウイグル人に対する待遇です。
2017年12月13日、世界ウイグル会議の総裁ドルクン・エイサ氏は中国で行われている強制臓器摘出についてイギリスの議会で発表しました。
「中国当局の報告書によると東トルキスタンに居住するウイグル人から血液サンプルを採取しているとありました。心痛に堪えません」というコメントが世界ウイグル会議のサイトに掲載されています。
ターゲットはウイグル人だけではない
調査ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏によると、中国警察は法輪功の修練者たちの血液も採取していると言います。
「いきなり警察がやって来て血液検査をするんです。血液適合者を探しているのが明らかです」ガットマン氏がエポックタイムズに説明しました。
ガットマン氏は『血まみれの臓器狩り-最新報告書』を共著で出版しました。著書では中国で臓器摘出が強制的に行われているという膨大な証拠を明らかにしています。さらに、中国共産党の下、医療業界や警察組織、軍、法的に認められていない官公庁などや悪名高い610弁公室などが連携して組織化された犯罪組織があると記しています。
法輪功の修煉者たちは安らぎを求めて気功をする人々です。そういった彼らの健康な臓器がターゲットにされています。修煉者たちが喫煙も飲酒もしない健康体であることを当局は認識しているからです。
中国の整備の整った監視システムを考慮すると、特定人物の血液や顔写真を入手さえすれば、警察は人混みの中からでもその人物を割り出すことができ、移植日程に合わせて事前に拉致することができます。もはや携帯電話を利用して追跡する必要がなくなりました。
中華人民共和国で「信用できない」と選別されることは死を意味します。
張り詰めた状況
中国の「社会信用システム」についてABCニュースが現地取材をしている間、ジャーナリストのマシュー・カーニー氏と撮影隊には6人の見張りがつき、さらに10人ぐらいの武装したボディーガードに監視されました。
あらかじめ地元の人々、特に新疆ウイグル自治区の人々とは交流しないようにと警告を受け、撮った画像は何度も検閲され、消去される画像もありました。
緊迫した空気が漂っていたとカーニー氏は言います。触れてはいけない「社会信用システム」や不当な監視システムについて地元の人々に取材していたからです。
「非人間的かつ抑圧的な弾圧が繰り広げられているのは明らかです。そのために最新技術が使用されているのです」とカーニー氏が説明します。
技術開発された監視システムカメラが中国国内の至る所に設置され、当局の思惑通りになっています。どんな手段を使っても専制的支配をするつもりです。習近平国家主席が存命中、オンラインでもオフラインでも中国が完璧な独裁国家になる日もそう遠くないはずです。