ファーウェイなどの中国企業は中国国内で監視システムを構築しているだけでなく、多くの発展途上国にもそのシステムと設備を輸出しています。
人工知能の発展と共に、中国ではデジタル監視システムが、市民を監視し抑圧する当局の重要なツールとなりました。同時に、これらの技術を掌握したファーウェイやZTE、テンセントなどの企業が監視システムや設備を海外にも輸出し、高額の利益を手に入れています。研究報告によると、世界の非民主主義国家108か国のうち、およそ半分の国で構築中の人工知能プロジェクトに、ファーウェイが関与しています。
米ボイシ州立大学 Steve Feldstein教授
「108か国のうち、60か国に中国のAI技術が輸出されている。この60か国のうち、ファーウェイは53か国に関与している。うち、51か国で膨大なスマートシティプロジェクトに関与している」
多くの発展途上国で構築しているいわゆる「スマートシティ」プロジェクトは、デジタル監視システムと深い関わりを持っており、ファーウェイなどの中国企業が担っている役割が注目されています。ファーウェイの脅威について、国家安全保障におけるリスクの他に、自由や人権に対する侵害なども注目されつつあります。
戦略・国際問題研究所公共政策担当ディレクター ジム・ルイス氏
「ファーウェイのような通信会社は、バックドアは必要ない。彼らはフロントドアを使う。ロンドンに設備を設置しているのに、中国の深センと絶えず連絡を取るからだ。深センはまた政府と連絡する」
戦略・国際問題研究所(CSIS) マイケル・グリーン副理事長
「国家安全保障を懸念する米国の同盟国にとって、受け入れがたいことだ。民間社会や開放制度、データやプライバシー侵害を懸念する国も受け入れがたい」
昨年以来、UKUSA協定(ウクサ)加盟国をはじめとする西側諸国の情報部門は、ファーウェイのセキュリティ脅威に対し警戒すると同時に、その対応のために協力しはじめています。多くの金融機構もファーウェイやZTEなどの中国企業との取引には巨大なリスクが伴うことを意識し始めています。しかし、世界が反目する中でも、中国当局はその行動パターンを変えようとしないため、ファーウェイなどの中国企業は今後ますます窮地に追い込まれると見られています。