【動画ニュース】中国当局がトルコ人4人を拘束 専門家は人質外交の限界を指摘

先日、中国当局は脱税の罪で、国際石材展示会に参加するためアモイを訪れていたトルコ人4人を突然拘束しました。評論家は「人質外交」は外交面における中国当局の常套手段になったと述べています。

トルコ日刊紙、ヒュリットデイリーニュースは10日、アモイで開催されていた国際石材展示会に参加したトルコ人ビジネスマン4人が9日早朝、中国当局により宿泊先のホテルで突然拘束されたと報じました。警察はこの捜査で一部の文書と物品を差し押さえました。

拘束された4人のビジネスマンの身元は明らかにされていませんが、彼らは中国に営業所を構えるトルコ企業3社の職員とされています。中国当局は脱税容疑により、彼らを拘束しました。

これらのトルコ企業は広州、広東省雲浮市とトルコに営業所があり、2016年から中国の会社と取引を開始して安価な大理石原石を中国に輸出していました。中国当局は、この会社は人民元4億元(約66億4000万円)相当の大理石24万トンを違法に中国に輸入し、人民元3000万元(約4億9794万円)を脱税したと指摘しています。

中国当局によるトルコ人の拘束が明らかになってから、トルコ人の中に動揺が広がっていることも報じられています。一部の石材会社社長はこの事件を受け、フライトの予定を繰り上げて中国を離れました。またあるトルコ人ビジネスマンは、二度と中国へは行かないと明言しています。

米国在住の時事評論家、唐靖遠(とう・せいえん)さんは、今回の突然の拘束は一見すると刑事案件だが、実際には政治的な報復であるという点が、中国が昨年、カナダ人の前外交官とビジネスマンを拘束した時の状況と極めて似ていると指摘しています。トルコ政府は最近、中国が新疆ウイグル自治区に大規模な収容施設を建設してウイグル人を収監し、ウイグル人の人権を侵害していると非難を繰り返していることから、今回のトルコ人拘束はこれに対する報復であると考えています。

在米時事評論家 唐靖遠氏

「中国当局は外国人の拘束を外交手段の一つにしている。中国共産党はその発足当時からずっと行ってきた営利目的の誘拐という手段に、すでに慣れ親しんでいる。こうしたならず者のようなやりかたに、法律や外交といったベールをかぶせているにすぎない」

カナダ在住の中国人作家、盛雪(せい・せつ)さんも、中国のような独裁政権国家においては、ビジネス環境や経済活動は民主主義国家と同じように合理的に規範化できないと指摘します。すべての「基準」を中国当局が決めており、これらは中国共産党の無形の武器となっています。必要なときにこの武器を持ち出しますが、その中の一つが「人質外交」だといいます。

エーゲ地方鉱物輸出協会の代表、メブルット・カヤ氏はアモイ国際石材展示会の開催前に、トルコから150社がこの展示会に参加すると発表していました。

また、トルコは世界の天然石埋蔵量の35%を占める、さまざまな天然石の宝庫で、アモイ国際石材展示会は、トルコが天然石材輸出市場で顧客を開拓する重要なチャンスだとも述べていました。

中国の巨大な人口規模と市場を求めて、多くの国が中国とのビジネスに食指を伸ばしています。唐康遠さんは、中国当局はこの市場を、ライバルを経済面で脅かすための切り札として使っていると分析しています。中国がしばしば日本や韓国、フランス、米国などの製品をボイコットするよう大衆を扇動するのもその一つで、今回はトルコ人ビジネスマンを拘束することで、トルコの大理石輸出に打撃を加え、トルコの政治家に圧力をかけています。これらの全ては実は、経済分野における国家によるテロリズムであると指摘します。

在米時事評論家 唐靖遠氏

「こうした国家によるテロリズムの手法がいったん常態化すると、今後ますます多くの国が中国共産党の本質をはっきりと認識するようになる。つまり、(自国の主張をごり押しするために)他国民を拘束するといった手段に訴える政権はいかなる信用も得られない。中国共産党は最終的に必ず孤立する」

盛雪さんは、中国が外国人の拘束をほしいままに重ねていることをメディアが明らかにすれば、国際社会は中国共産党の本質を見抜くことができると指摘します。なぜなら、中国共産党体制においては金もうけに時折、モラルや人権において極めて大きな代価を支払う必要があり、この代価は時に支払いきれないからです。

カナダ在住の中国人作家 盛雪氏

「中国当局のこうしたやり方は効果があるわけがない。国際社会のより多くの人が中国への投資に懐疑的になるというリスクを招くだけだ。今回のこの事件は少なくとも、中国において安全でいられる人間など一人もいないということを社会に示すことになった」

唐靖遠さんは、中国が経済分野での実力をつけるに伴い、共産党の邪悪な本質が明るみに出るようになったと考えています。これは中国共産党体制の本性によって決定づけられているため、隠すことができないからです。中国共産党の野心とそれが講じる手段によって、各国との関係性の中でこうした傍若無人なふるまいを示す傾向が強まっていますが、この手の「人質外交」は、結局は何の成果も得られないだろうと指摘しています。

 
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