四川省成都市の私立小学校の給食にカビの生えた食材が使われていたことで、保護者らが激怒し、13日、大規模抗議が起きました。事件は、その後も発展を続けています。子どもたちの健康診断結果が出たにも関わらず、公表が許されないほか、長期保管で変質した古米が学校に流れ込んでいることがわかりました。
四川省成都市第7中学実験学校は、中産階級の子ども達が通ういわゆる「貴族学校」で、年間5万元〜7万元、日本円で約80万から110万円の費用が必要です。
先日、学校の食堂を訪れた保護者らが、給食にカビの生えた傷んだ食材が使われているのを発見しました。12日夜、食堂運営者は問題の食材を別の場所に移そうとしたところ、保護者らによって止められました。警察に通報し、現場には大勢の保護者が詰め掛けました。
13日、数千人の保護者が学校に詰め掛け、学校側に抗議しましたが、学校側の幹部による対応はなく、返って警官隊が出動しました。警官隊は保護者らを殴打しただけでなく、催涙スプレーを使い退散させました。さらには、保護者12人が一時拘束されました。
保護者によると、食堂の請負業者のトップは責任を追及されるどころか、大勢の警察の警護の下で、警察車両に乗って学校を離れました。この業者のバックグラウンドに注目が集まりました。
「中国経営報」によると、成都市第7中学実験学校の請負業者は四川徳羽後勤管理服務有限公司という会社です。オーナーは株式の85%を所有する呉春雷(ご・しゅんらい)で、四川省中学校の校長協会「校長の家」のスポンサーでもあります。
中国の人権活動家、呉さんは、学校の給食はその膨大な量から、業者にとっては非常に「おいしい商売」であると述べます。
中国の人権活動家 呉さん
「これはみんながよだれを垂らす美味しい商売だ。四川徳羽は実力があり、バックグラウンドも強い。四川省中学校長協会が背後にある。だから四川徳羽の商売は四川省の中学校ばかりだ。このような現象は全国各地で見られる」
報道によると、四川徳羽の業務は雲南省、貴州省、四川省、重慶市など20以上の都市で展開されています。公式サイトによると、30を超える小・中・高等学校の20万人向けにサービスを提供しています。
中国の人権活動家 呉さん
「今回の四川徳羽の事件は氷山の一角に過ぎない。今回蓋が開けられ、中の黒幕を目にしたが、前から知っていることだ。ただこんなにひどいとは思わなかった。彼らはカビの生えた、豚の餌にも使えない腐った食材を子どもたちに食べさせていたのだ。想像を絶することだ」
成都第7中学の匿名希望の保護者によると、病院で検査を受けたところ、多くの生徒の健康に問題が現れました。
匿名希望の保護者
「不心配になった保護者らが子どもを検査に連れて行ったところ、多くが腸炎で、他にリンパ節の問題も多かった。子どもたちは熱を出していて、免疫力が落ち、下痢をしている。(学校の)誰かが出てきて問題解決をしてほしい」
この保護者によると、病院による健康診断の結果があるのに、当局はこれらの発表を禁止しているとのことです。
匿名希望の保護者
「証拠もある。問題は微博やウィチャット、Tiktokなどにメッセージを出しても、全部封鎖されて、発信できない。昨日ある保護者が検査結果の証拠を持って行ったが、没取しようとした。数千人の生徒に関わる大事件なのに政府はもみ消そうとしている」
「暗黒すぎる。官僚は互いにかばい合い、記者は一人も来なかった。政府が抑えつけている。しかも成都市の幹部は一人も来なかった。温江区教育局の人が一人だけ来ていた。省は言うまでもなく、市の幹部すら来なかった」
あるコメ販売業社が明かした情報によると、各地の教育部門には食品仕入れのプラットフォームがあるが、価格が低すぎるため、業者は赤字を防ぐために仕方なく変質した古米を混ぜる手法を取っているとのことです。中国の古米はほとんど学校の子どもたちに食べさせているといいます。
あるネットユーザーは、「四川・成都のカビ食材事件は子どもたちの命に関わる大事件で、全国的なことだ。全ての子どもがローエンド人口と見なされているようだ」と嘆いています。
中国の人権活動家 呉さん
「この国の政治体制と関係ある。権力が物を言う社会だから、権力者が全てを決める。人民には監督の権利などない」
呉さんは、共産党体制の下で、多くの中国人は社会に対して無関心であると指摘します。今回の事件は、社会の公正公平、正義に対する人々の無視と、他人の境遇に対する無関心が招いた結果だと示します。社会と他人への無関心によって、食品安全問題などの社会問題が蔓延し、最終的には自分も被害者になるのです。