イタリアメディアは先日、イタリア人新聞記者が駐イタリア中国大使館の職員から脅迫を受けたと報じました。国境なき記者団は、中国共産党が中国のニュース検閲システムを海外へと「輸出」しようとしていると指摘しています。
イタリア日刊紙のイル・フォーリョは23日、習近平国家主席が22日にローマを訪問した際、現地取材中の同紙の記者、ジュリア・ポンピルさんが複数回にわたり、中国大使館の楊翰(Yang Han)報道官から脅されたことを報じました。楊報道官は中国共産党のマイナスになる情報の報道の停止を強く求めて「お前が誰だか知っているぞ」と発言し、ポンピルさんが携帯電話を取り出したところ、「携帯電話を放せ」とも命じました。
ポンピルさんはイル・フォーリョでアジア太平洋地域に関するコラムを担当しており、9年前から中国問題に注目していました。
中国外交官からの不条理な威嚇に対し、イル・フォーリョは紙面で「イタリアは中国ではなく、ローマも北京ではない」と回答しました。
欧州議会議員のステファノ・マウル氏はすでにイタリア外務大臣に対し、この件の調査を要求しました。マウル氏は、「これが事実だと証明されたら、非常に深刻で前例のない事件になるだろう」と述べています。
時事評論家 唐康遠氏
「簡単に言うと、中国当局の外交システムによる強気の姿勢がここ数年露呈され続けており、横暴な態度さえ見られる。これは中国の世界拡張戦略に歩調を合わせるためのものだ。今回の報道官は、中国とイタリアが一帯一路に関する覚書に署名したばかりのタイミングでニュースを提供した。これは中国当局の野蛮で横柄な本性が露呈したものだが、もちろん彼はおそらく、この場を借りて手柄を誇りたかったのだろうし、嫌みのつもりだったのかもしれない。だがどういう形にせよ、外交面に与える影響を考えると、非常に愚かなやり方なのは間違いない」
国境なき記者団も25日、報告書を発表し、中国共産党は世界規模で「世界メディア新秩序」の構築を試みており、国内メディアを弾圧するニュース検閲システムを「輸出」しようとしていると指摘しています。その目的は自身への批判を封じてこれに反撃することで、報告書にはさらに、中国当局の行為はメディアに脅威を与えるだけでなく民主主義体制も脅かすと記されています。
時事評論家 唐康遠氏
「中国当局は今、2つの面から勝負に出ている。1つは西側諸国のエリートを丸め込んで、彼らを中国当局に利益をもたらす影の代理人に仕立て上げようとしている点だ。もう1つはメディアの買収や弾圧によって、西側諸国の民衆が中国共産党の拡大や浸透に注意を向けないようにすることだ。民主政治体制の弱体化を試みながら、ボトムアップ方式によって中国当局に対する宥和政策の作用を是正しようとしている」
国境なき記者団の2018年「世界報道の自由指数」によると、中国の報道の自由度は世界180カ国中176位でした。