中国の元外交官鍾丹は、中国人労働者を外交関連ビザで米国に入国させ、建設現場で働かせていたことで、2016年に逮捕・起訴されました。3月22日、ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所は検察が起訴した5つの罪が成立すると裁定しました。
中国の元外交官で中国日林実業集団(Rilin Enterprises)米国支社の元総裁、鍾丹は、億万長者王文良の甥で、元駐米大使、李肇星(り ちょうせい)とも特別な関係があると言われています。
鍾丹は、外交施設で働くビザで中国人労働者らを米国に入国させたあと、建設現場などで働かせていました。しかし、労働者らはパスポートや給料を差し押さえられただけでなく、寝泊まりはタコ部屋や工事現場といった劣悪な場所で強いられていたとのことです。
12人からなる陪審団の3週間に渡る審理を経て、鍾丹の5つの罪、強制労働共謀の罪、強制労働の罪、強制労働に関する文書隠蔽の罪、ビザ詐欺共謀の罪が成立すると裁決しました。
25日、陪審団は鍾丹が所有しているマンハッタン区ミッドタウンの高層ビル、ロングランドの豪邸を含む不動産6か所の没収を決めました。
今年49歳の鍾丹は2001年から2009年まで、中国駐ニューヨーク総領事館、中国駐米国大使館で外交官を務めていました。
ニューヨーク東部地区連邦検察官(Richard P. Donoghue)は、「アメリカは中国共産党とは異なり、アメリカ人は強制労働を容認することはできない。鍾丹の行為はアメリカの法律に違反しているだけでなく、アメリカの価値観にも反する」と述べました。
鍾丹は最高で20年の禁錮刑に直面しており、数ヶ月後に判決が言い渡されます。