近年、中国当局は大金をはたいて西側メディアを買収または浸透し、情報統制を行っています。言論の自由の擁護を目的としたジャーナリストによる非政府組織「国境なき記者団」は25日、報告書を発表し、中国当局が中国国内で実行する検閲システムと情報統制のモデルを海外に輸出しようとしていると指摘しました。
多くの国で人々はテレビや新聞で最新の情報を獲得します。しかし、日常的に目を通す新聞やテレビ番組の中に、中国共産党による洗脳プログラムが埋め込まれていることは、誰も想像していないかもしれません。
国境なき記者団東アジア事務所 セドリック・アルヴィアーニ総事務局長
「中国共産党は現在 財務および政治面の資源を持っているため、世界各地で彼らのモデルを広めている。例えば「チャイナ・ウォッチ」は正真正銘のトロイの木馬で、特別欄の形で一部大手メディアに入り込んでいる」
「国境なき記者団」は3月25日、最新の報告書を発表しました。中では、中国共産党の海外における情報統制の手法の数々について明かし、世界の報道の自由を脅かしていると指摘しています。たとえば、記者のビザ発給を拒否する、海外メディアに対し投資を行うなどがその手段の一つです。
ブルームバーグ社の調査によると、中国共産党がここ10年間で欧州各地のメディアに投入した資金は30億ユーロに上ります。一方、海外の中国語メディアに対する浸透およびコントロールの状況はさらに深刻であると指摘しています。
国境なき記者団東アジア事務所 セドリック・アルヴィアーニ総事務局長
「ここ10年、中国共産党は時には直接に、時には民間企業を代理人にして、絶えずメディアの買収を行っている。事実上、中国に対する独立した見解を述べる海外の中国語メディアはますます減っている」
西側諸国の中でも、中国人が最も多い国はアメリカで、およそ500万人が住んでいます。国境なき記者団は、「チャイナ・デジタルタイムズ」「新唐人テレビ」「大紀元時報」を除いては、独立メディアはほとんどないと指摘します。一方、中国共産党の戦場はメディアからSNSにまで広がり、近年、台湾では中国共産党が関わっているフェイクニュースによる攻勢が次々と摘発されています。
国境なき記者団東アジア事務所 セドリック・アルヴィアーニ総事務局長
「我々には経済面での独立性がないだけでなく、記者の編集の自由も守られていない。台湾のメディア環境を強化することによって、ますます健全化し、フェイクニュースの影響も受けにくくなる。少しの投資で、台湾政府は台湾メディアの報道の自由度を上位20位に上昇させることができる」
中国共産党によるメディアの浸透に対し、西側諸国も相次ぎ対策を打ち出しています。国境なき記者団は西側の民主主義国家に、中国メディアに対し、その株主と資金の出どころを公開するよう求め、同時に自国民に対しメディアへの認識度を高める教育を行うことを提案しています。