4年前、ルークの養子縁組をした時のことです。
ルークを我々のホテルの部屋へ連れて来てもらいました。孤児院の職員たちはろくに別れの挨拶もせずに立ち去りました。
残されたルークを見て驚きました。顔中が傷だらけだったからです。まともな扱いを受けていなかったようです。
「この子の好きなものは?」そそくさと帰ろうとする職員たちの後ろから、私は大声で呼びかけました。
「麺類です!」エレベーターの扉が閉まる直前の返答でした。
ルークは奇声を発しながら暴れ出しました。私はルークが脱走しないようにドアの前に立ちはだかりました。泣き叫び声が苦悩する動物の鳴き声のようです。鏡を見たことがなかったのか、逃げ出そうとして鏡に真正面から体当たりしました。
包み込むように抱きしめてあげると、落ち着いてきたようです。1時間半ほどそうしていると、うとうとと寝始めました。心身共に疲れたのでしょう。
ルームサービスでメニューにあるすべての麺類を注文し、部屋に運び込んでもらっている最中に、ルークが目を覚ましました。再び泣き始めたのですが、料理に気付くと 泣くのをやめ、もくもくと食べ始めましたが、食べ過ぎで気分が悪くなる手前で辞めさせました。
その夜 ルークを連れて散歩に出かけます。夜空の月に興味があったようです「あれはなに?」「あれはお月さまよ」と教えてあげると、手を伸ばして触ろうとします「お月さま!」
微笑ましく思いました…
愛の物語をどうぞご覧ください。