3月30日、トランプ大統領の別荘に中国人女性が嘘をついて不法侵入する事件が発生しましたが、事件の背後にある、米国の中国共産党統一戦線組織の存在が浮上しました。
3月30日、32歳の中国人、張玉靜(ユージン・チャン)被告は、自分はマール・ア・ラーゴの会員で、プールを使いたいと嘘をついて、パスポートを提示して敷地内に入りました。しかし、ゴルフカートの駐車係に行き先を伝えることができず、受付に連れて行かれ、「国連在米中国人協会」のイベントに参加するために来たと説明しました。
しかし、そのようなイベントは予定されていなかったため、受付スタッフがシークレットサービスに知らせ、チャン被告を拘束しました。さらに所持品からは、悪質なマルウェア入りのUSBメモリーが発見されました。
時事評論家 唐靖遠氏
「張玉靜のこの事件は非常に怪しい。まず、彼女はプロのスパイではなさそうだ。嘘をつく手法が下手すぎるからだ。FBIが防諜捜査を始めたことから、精神に問題がある可能性も低い。確実なのは、彼女は嘘をついたり、英語が下手であるふりをするなど、普通では考えられない方法で別荘に入ろうとした。彼女はトランプ人気にあやかりたい一人なのかもしれないし、他の人に利用された可能性も排除できない。誰かが彼女を利用して、別荘のセキュリティーシステムを試してみたかった可能性もある」
チャン被告はセキュリティー・サービスに、「ウィーチャットを通してチャールズという中国人の友人から、イベントに参加し、トランプ大統領の家族と米中経済関係について話すよう指示され、上海から来た」と供述しました。
調査によると、3月30日、マール・ア・ラーゴでは確かに「国際首脳フォーラム」と「サファリ・ナイト」というイベントが予定されていました。イベントの主催者はシンディー・ヤン(Cindy Yang)とチャールズ・リー(Charles Lee)で、いずれも中国人でした。しかし、シンディー・ヤンが今年2月、フロリダ州での売春事件に関わっていたことが発覚したため、イベントは中止となりました。ヤンはそれまでに、共和党員の身分でトランプ大統領の家族や共和党の上層部の人物に急接近していました。
その後、ヤンが中国共産党の統一戦線組織「平和統一促進会」のメンバーであることが明らかになりました。
もう一人、チャールズ・リーという男性は公には「国連中国人友好協会幹事長」という肩書きを使っていました。当該協会は国連傘下の組織でないにも関わらず、リーは国連組織の名義で活動していたそうです。しかし、チャールズ・リーも中国共産党統一戦線部と関係があるようで、ネット上には統一戦線部の幹部と撮ったツーショットが出回っています。さらに、官製メディアの人民網は昨年、チャールズ・リーがニューヨークのタイムズスクエアのスクリーンに登場したことを伝え、「リーによって、さらなる対外宣伝の権利を勝ち取った」と報じました。
張玉靜による不法侵入事件発生後、チャールズ・リーのウェブサイトは即刻削除され、人民網も当該記事を削除しました。
時事評論家 唐靖遠氏
「FBIの防諜捜査は必ずチャールズ・リーにまで辿りつき、彼と中共統一戦線部の関係や特別任務の有無についても調査するだろう。周知の通り、党外の人を丸め込み、素人スパイを養成することも、中共統一戦線部の仕事の一つである。つまり、人海戦術を使ったスパイ作戦だ」
連邦捜査局(FBI)は、中国共産党によるスパイ工作の可能性を視野に入れて、現在捜査を進めています。