『三字経』第17単元
孝経(こうきょう)通じ
四書(しょしょ)熟し
六経(りくけい)のごとき
始めて読むべし
詩書易(ししょえき)
礼春秋(れいしゅんじゅう)は
六経と号す
当(まさ)に講求(こうきゅう)すべし
昔の人は学問を研究する際
まず孝経の内容を完全に理解する
次に四書を熟読してから
六経を読み始める
六経とは
「詩経」「尚書」「周易」
「周礼」「礼記」「春秋」
この六冊の総称である
孝経は儒家の孝の教えを説いた書だ
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伝統文化教材≪三字経≫について
正に伝統文化教材とも言える『三字経』は、台湾・益群書店から出版されている。本書は『弟子規』や『千字文』、『千家詩』の後に続いて出版された、伝統文化教材詳解シリーズの第4作である。
概要
『三字経』は、宋朝の私塾でテキストとして使われたことが始まりで、現在の小学校の教科書に相当する。ただし、このような毎句3字という形式を最初に用いたのは一体誰なのかについては、意見が割れている。宋の王応麟撰という説も有れば、宋末の区適子の撰とする説も有る。
“経”とは不変の道理であり、古人がある本のことを“経”だと称せば、その本は間違いなく価値がある。中国古代には経典書が非常に多いが、中でも『三字経』は最も読みやすい書物と言える。文学、歴史、哲学、地理天文、道徳倫理、忠孝節義など幅広い分野を題材としており、内容は豊富だが、文章構成は簡潔であり、一句が3字なのでリズム良く読めて面白い。さらに、心に響く内容になっており、初学の児童にとって、『三字経』を覚えることで常識や国学、歴史的故事を数多く学び取ることができ、さらに人としての道理も身に付けられる。だから、『三字経』は児童啓蒙教材として常に1位に選ばれている。
本書は全部で44単元に分かれ、八句ごとに1単元となっている。毎単元の内容には、原文、発音練習、語句解釈、参考訳文、問題討議が盛り込まれている。発音練習は、注音字母表記とピンイン表記の2種類ある。語句解釈は、語句の文章中における意味に注釈を加える他に、特殊な意味のある語句については、その背景を紹介している。参考訳文は、白話翻訳の部分を指し、読者に一句ごとの意味をより理解してもらうことを目的としている。最後に、八句の内容に基づいて、読者諸君が少しでもヒントを得られるようにと願って考えた問題をまとめてある。こういった討論の機会を通して、読者諸君に毎回の単元の主旨をより深く把握してもらうことがねらいである。その他、各単元の終わりには、単元の内容と関係の深い物語と、その物語から感じ取ったことをまとめてもらう作文問題を設けた。
『三字経』は学びやすく、覚えやすい。多くの人に長年愛され続けているのは、この教材を学ぶことで中国伝統文化の気質を養えるだけでなく、学んだことを人としての在り方や世渡りの手本とすることもできるからである。