トランプ大統領の中国製品に対する関税引き上げの発表を受け、6日、中国本土や香港の株式市場では株価が急落しました。一方、関税引き上げの影響を真っ先に受けるのは、中国本土を生産基地にしている輸出企業で、台湾では鴻海(ホンハイ)グループに注目が集まっています。
台湾財経専門家 謝金河氏(2019.05.05)
「中国を生産基地にして廉価製品を生産し、米国へ輸出する企業は、真っ先に影響を受ける」
台湾の経済専門家で時事評論家の謝金河(しゃ・きんが)氏は、米中貿易戦についえて言及した際、鴻海グループを名指しして、中国市場に頼る危険性を指摘しました。
台湾財経専門家 謝金河氏(2019.05.05)
「米中貿易戦争の影響を最も受けるのは、中国を生産基地にして製品を輸出する企業だ。例えば輸出金額が膨大な郭台銘(テリー・ゴウ)がそうだ」
万宝投資顧問CEO 王栄旭氏
「トランプ大統領の対中関税引き上げ発表後、今日株価が暴落した」
トランプ大統領の中国製品に対する関税引き上げの発表を受け、翌日、中国、香港、台湾の株式市場が大幅に下落しました。台湾鴻海(ほんはい)精密工業の株価が3.74%下落したほか、鴻海傘下の香港上場の携帯電話組み立て会社「富智康集団(FIHモバイル)」が11.03%下落、鴻海傘下の深セン子会社で、産業向けIoT(モノのインターネット)関連事業を手掛ける富士康工業互聯網(フォックスコン・インダストリアル・インターネット=FII、工業富聯)も9.73%下落しました。
テリー・ゴウ会長の鴻海グループは中国に大量投資していますが、いっぽうでは中国政府から補助金を受けていると指摘されています。台湾立法会の徐永明(じょ・えいめい)議員によると、富士康(フォックスコン)とFIIは2018年、中国政府から9.42億元(約150億円)の補助金を受けています。
台湾行政院大陸委員会 陳明通主任委員
「中共政府から補助金を受けている。となると問題は、これは常態なのか?このグループが台湾総統選に出馬しているが、利益相反にならないのか?現在の時点で法律規定もない」
立法委員 李俊俋氏
「避けられないと思う。全国民の監督を受けなければならない」
李俊俋(り・しゅんゆう)立法委員は、富士康の中国本土の工場には共産党支部が設置されているだけでなく、3万人を超える共産党員がいると指摘しています。
いっぽう、テリー・ゴウ会長は2020年の台湾総統選に出馬を表明していますが、中国本土への投資と台湾での選挙出馬によって、経済利益をめぐる衝突は生じないのか、多くの人が注目しています。