香港で6月9日に行われた「逃亡犯条例」改正案に反対するデモには、103万人の香港市民が参加しました。今回のデモは、民主派団体「民間人権陣線」の呼びかけで行われた3回目のデモで、1997年中国への返還以来、最大規模のデモとなりました。
「引き渡し条例改正案を撤回しろ!」
中国共産党当局の要求に応じ、香港で拘束した刑事事件容疑者の引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案が、6月12日に香港立法会で審議に入ります。成立した場合、6月末から実施されることになります。
デモ出発地点のビクトリアパークは早い時間から市民で埋め尽くされました。予想をはるかに超える人数が集まったため、スタート時間も30分繰り上げて、午後2時半からスタートしました。デモ隊の先頭は「中国への引き渡し反対」と書いた大型横断幕を掲げ、「引き渡し反対」「悪法を撤回しろ」「キャリー・ラムは退陣しろ」などのスローガンを叫びながらゴールの立法会を目指して行進しました。
デモ参加者には高齢の市民から小・中学生、赤ちゃん連れの若い親の姿も見られました。
香港の市民らはどのような思いで、このデモに参加しているのでしょうか。現場の声を聞いてみましょう。
映像制作関係者 林さん
「今日のデモのために扇風機や水、オムツ、ミルクなど全部用意して持ってきた。最も不満なのは、香港人を本土に引き渡し、本土の法律で裁判を受けさせることだ。香港の司法制度は本土とは全く違うので、香港人は不公平な裁判を受けることになる」
17歳の高校生 馮さん
「この条例を不満に思うのは、中国に引き渡すことだ。共産党を私は信じなくなった」
参加者が多いうえ、多くの道路が警察当局よって封鎖されたため、参加者らは出発まで数時間も待たされたました。怒った市民らが、道路を開放するよう警察に求めました。出発する前から疲れて、地面に座り込む市民も多く見られました。
71歳の香港市民 劉さん
「あなたに教えるが、警察側は多くの悪いことをしている。見て。あちら側の人たちはまだ出発できない。警察側は多くの陰湿なことをやっている。ここも先ほどまで1000〜2000人がいたが、ようやくグランドを開放した」
香港市民の梁さんと7歳の息子
「初めてデモに参加する。彼らはなぜ民衆をこれほど困らせるのか、理解できない」
記者
「参加を決めた理由は?」
香港市民 梁さんと7歳の息子
「中国への引き渡しに反対だから」
デモ隊の最後尾は、午後6時半になってようやく出発できました。主催団体は夜9時半頃、103万人が参加したと発表しました。2003年7月1日に行われた「香港基本法第23条」立法反対デモの50万人をも上回る香港史上最大規模のデモとなりました。一方、警察発表はピーク時で24万人としています。