香港では16日、200万人が街頭に繰り出して、「逃亡犯条例」改正案の撤回と、キャリー・ラム行政長官の退陣を求めました。一方、中国のネット上では香港のデモに関する内容が全て封殺され、官製メディアも沈黙を守っています。環球時報の英語版がデモについて言及しましたが、米国が関与した「色の革命」であるとほのめかしています。
6月12日、香港警察は催涙弾やゴム弾、ビーンバック弾などを使って、抗議する市民を鎮圧しました。これを受け、16日のデモには、9日の100万人を超える、200万人が参加しました。世界各国でも香港を声援する集会やデモが行われました。一方、中国の官製メディアは一斉に沈黙を守り、ネット上の関連内容は全て削除されています。
中国の人権活動家によると、北京当局は香港の大規模抗議活動に刺激され、本土にも火が付くことを非常に恐れていると述べます。共産党を憎む人があまりにも多いからだといいます。
中国の人権活動家 危文元さん
「香港のデモは庶民が出てきて声を上げている。香港人は正しいことをやっていると認識しているので、良識があり、正しい方法で声を出している」
ネットメディアの「チャイナ・デジタル・タイムズ」によると、中国共産党宣伝部は16日、中国の各ポータルサイトに香港のデモに関する動画を削除し、音楽動画の下に書かれたコメントを調べ、関連内容を削除するよう命じています。
官製メディア「環球時報」の英語版は16日、香港のデモに言及しましたが、条例改正に反対するデモはアメリカが煽った「色の革命」であるとほのめかしています。
上海の陳情者、胡建国(こ・けんこく)さんは、勝てない相手を貶すのは中国共産党の常套手段だと一蹴します。
上海の陳情者 胡建国さん
「中共はWTOとの約束を守らなかったため、米国が中国に対し貿易制裁を発動した。是非を転倒するのは共産党の一貫した手段だ。我々の陳情も同じで、合理的な理由で陳情しても騒動を起こしているという。共産党は一貫して事実を歪曲する」
胡さんは、当局は国民の視線をそらし、アメリカに対する憎しみを煽り立てようとしているが、返って多くの人が香港を支持し、共産党の滅亡を望んでいると述べます。
香港政府は今年2月、容疑者を中国に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」の改正案を打ち出しましたが、香港市民の猛烈な反発によって世界中から注視されています。16日、台湾やアメリカ、フランス、カナダなど、多くの国でもデモや集会を行い、香港の人々にエールを送りました。