米国が中国製品に対する関税の引き上げを表明したことで、外国企業の中国撤退が相次いでいますが、中国企業がミャンマーやベトナムなどに工場を移転するケースもみられます。
広州雅科達(ヤコダー)旅行用品公司では、米国向けの防弾チョッキとライフルバッグが売り上げの半分以上を占めています。
トランプ大統領が中国製品への関税引き上げを表明したことで、この会社の防弾チョッキは輸出の際に42.6%もの高額な関税が課せられることとなりました。
会社の経営者は最終的に、ミャンマーに工場を移転して、米国から発注された製品のすべてを東南アジアで生産することを決定しました。
広州雅科達旅行用品公司CEO 舒克安氏
「9月下旬に関税が10%引き上げられたころ、米国の顧客からも『すでに関税が引き上げられた』という知らせの電話をもらった。その翌日に私は(ミャンマーで生産するための)工場の契約を行った。(米国の)関税引き上げは当社にとってよいチャンスだった」
ミャンマー政府の公式データによると、昨年の財政年度における中国からの投資額は5億8500万ドル(約631億円)増加しました。
雅科達(ヤコダー)のミャンマー工場責任者、蒋傲雄氏は、ミャンマーの強みは人件費と関税が低いことだと語っています。
広州雅科達旅行用品公司のラングーン工場責任者 蒋傲雄氏
「中国人労働者1人分の給料で、ミャンマーでは3人を雇用できる。当社がミャンマーに工場を移転したのは、ミャンマーの賃金が比較的安いからだ。2つ目の理由として、ミャンマーは関税も比較的低い。中国の関税はやや高い」
この会社のように、工場を国外に移転することで関税を回避する中国企業もあれば、中国で生産された製品をいったん台湾やベトナム、メキシコに輸送し、生産地を偽って米国に輸出する方法を模索する企業も存在します。
ベトナム税関はすでに、関連の違法製品の識別能力と処罰力を強化するため、新たな手順を策定しました。
大阪で行われたG20会議で、トランプ大統領は中国に対する追加関税措置の見送りを表明しました。