香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、市民の強烈な反発を受け、逃亡犯条例改正案の審議停止を表明しましたが、香港市民は完全な撤回を求めて抗議を続けています。銀行関係者によると、6月9日に大規模デモ発生後、香港の富裕層は1週間のうちに100億ドルの資金を海外に移転しました。
香港銀行家 吳明德氏
「銀行業界の友人によると、6月9日のデモから16日のデモの間、100億ドルが海外に移転された」
6月の2回の大型デモの間、行政長官は条例改正案の審議延長を発表しましたが、香港浸会(しんかい)大学の客員教授で、銀行業界で30年以上の経験を持つ銀行家、吳明德(ご・めいとく)氏は、香港に対し自信を失った富裕層は、資産移転の動きを速めていると述べます。
香港銀行家 吳明德氏
「香港の富裕層は恐れ始めている。条例がいつ通るかもわからないし、どんな手口を使うかわからない。また報復を恐れている。中共は人々をデモに駆り出し、妥協を迫っている。継続するにはエネルギーが必要だから、政府は顔を変えて出てくるだろう。この方法で支配を続けると、香港の自由の空間はなくなる。この悪い方向へ向かっている」
記者
「多くの富豪や周りの富裕層は香港を離れようとしているのか」
香港銀行家 吳明德氏
「もちろんだ。少なくとも半分が離れた。残りの人たちも離れる準備をしている」
「逃亡犯条例」改正案がもたらした波風によって、香港では中国共産党当局に対する不信感がさらに増し、「党が司法を凌駕する」暗黒な時代がいずれ香港にも訪れるのではないかと危惧しています。ロイター通信によると、ある富豪はすでに1億ドルを超える資産を香港の銀行からシンガポールの銀行に移転しています。