中国に新たな監視システムが登場しました。顔認識システムに続き、当局は近日、「歩行姿態識別システム」を発表しました。このシステムは顔認識システムの欠点を補い、顔がはっきり写っていなくても、歩く姿で人物特定が可能であるとのことです。
中国科学院自動化研究所傘下の人工知能企業「銀河水滴技術(Watrix)」が7月2日、世界初とされる歩行姿態識別システム「水滴慧眼」を発表しました。このシステムは、歩行姿態を識別する技術を用い、歩行姿態の情報データベースの構築、歩行姿態データを検索、広範囲追跡などの機能と一体化させ、リアルタイムで個人の識別を行うAIを利用したインターネットシステムで、マスクなどで顔を隠していても識別が可能とのことです。
「銀河水滴技術」は、歩行姿態識別システムは顔認識システムに比べ、遠距離識別、全視覚識別など、独特の優れた機能があると説明しています。また、このシステムは公共安全管理分野のほかにも、スマート住宅やスマート医療、ロボットなどの分野にも利用可能だとしています。現在、このシステムは世界規模のビックデータを有しており、さらなるデータベースを構築中だそうです。
河南省の民主活動家、郭(かく)さんは、中国人は大きな刑務所のような国で暮らしており、当局は顔認識システムだけでは物足りず、歩く姿まで識別しようとしており、考えるだけで身の毛がよだつと語ります。
河南省民主活動家 郭さん
「刑事事件の捜査に使うなら異議はないが、全民監視用に使うのは理解できない。膨大なネットワークを監視している中共が、さらに歩行姿態識別まで行うのは、当局が不安を感じているからだ」
上海の陳情者、程(てい)さんは、共産党は庶民を恐れており、そのために監視システムを絶えず強化するのだと述べます。
上海の陳情者 程さん
「中国という土地で、我々庶民は生きていけない。地下鉄に乗るにも身分証明書や携帯電話の中身を調べられる。中国の庶民はプライバシーがない」
武漢市の人権活動家、高さんは、顔識別システムにしろ、歩行姿態識別システムにしろ、いずれも当局が庶民を抑圧し、政権の安定を維持するための道具であると述べます。
湖北省武漢市人権活動家 高さん
「その目的は、いわゆる『敏感な人』をコントロールし、庶民を監視し、大衆を監視するためだ。社会全体が揺れ動いている現在、当局は香港のデモが本土にも伝わり、政権の安定に影響を及ぼすことを恐れている」
香港で「逃亡犯条例」改正案に反対して6月から続いている大規模デモについて、当局はインターネットの情報を厳しく封鎖し、スマホの情報統制にも全力をあげています。