米中貿易戦争が長引く中、欧米企業の中国離れの傾向が顕著になっています。外国メディアは、この流れはすでに止めることができないと報じています。
米中貿易協議を通してトランプ政権は中国当局に構造改革を求めていますが、中国はいまだに応じていません。しかし、企業は貿易協議の結果をいつまでも待ち続けるわけにはいきません。
米資産運用会社ブラックロックCEO ラリー・フィンク(2019.7.19)
「多くのCEOから聞いているが、ますます多くのサプライチェーンが中国を離れている。人々はもう待たない。企業は米中貿易協議の結果を待たなくなった」
各国の企業に品質管理・サプライチェーンの監査プログラムを提供する香港のQIMAの最新の調査結果によると、 です。欧州連合の企業は米国企業ほど貿易戦争の影響を受けていないものの、貿易協議の不確定性から中国の製造業への依存度を下げようとしています。
台湾金融研訓院 吳中書院長
「中国大陸への投資も減りつつあり、一部のメーカーはすでに生産ラインを台湾に移転している。また一部は東南アジアに移転している」
台湾経済研究員欧州研究センター主任 葉基仁氏
「中国に投資した外国企業は、最終的に決断を迫られる。もし残りの3250億ドルの中国製品に25%の関税が課されると、世界のサプライチェーンの再構築がすでに始まっているが、将来的にはもっと拡大するだろう」
専門家は、データエコノミー時代の到来によって、企業データが簡単に入手できるため、プライバシー保護が不可欠になっているが、中国大陸では重視されるどころか、全てのプライバシーが管理下に置かれており、さらに香港では暴力団による襲撃事件まで発生しており、これらはいずれも西側社会が重んじる普遍的な価値観に反するものであると指摘します。
台湾経済研究員欧州研究センター主任 葉基仁氏
「欧州は特に自由民主主義の価値観を強調する。(中国の状況は)明らかに彼らの基本的な信仰と価値観に反する。ゆえに世界各国の大手企業や金融業、航空業界などのサービス業は、中国に投資したがらないだろう」
米中貿易協議の結果に関わらず、外資企業の中国離れは着々と進んでいます。報道によると、アップル、任天堂、ヒューレット・パッカード、デルなど、多くの企業が中国撤退を進めています。台湾の5大EMS企業である鴻海(こうかい)、和碩(ペガトロン)、仁寶(コンパル・エレクトロニクス)、廣達(クアンタ・コンピュータ)、英業達(インベンテック)も昨年から生産拠点の調整を始めています。