【動画ニュース】中国メディアが不動産企業の倒産を次々と報道「来るべき銀行破綻の緩衝材だ」

中国ではこの半年で300社近い不動産中小企業が破産したと報じられたことに続き、7月25日にも中国メディアが、一日で不動産企業三社が破産したと報じました。ある業界関係者は、メディアが不動産企業の破産を報じたのは、銀行倒産にそなえた緩衝材(かんしょうざい)だと考えています。

7月25日、中国メディア「毎日経済新聞」は、中国の不動産業界はすでに持ちこたえられなくなっており、裁判所公告網で発表されたデータによると、7月24日の一日でさらに不動産企業三社が倒産したと報じています。

同じ日に「21世紀財経報道」は、中小不動産企業がプロジェクト譲渡において生き残りを図っているだけでなく、一部の中大型不動産企業も資金繰りの危機に直面しており、泰禾(たいか)、新城控股(フューチャーランド・デベロップメント)、華僑城(かきょうじょう)なども続々と「腕を切り落としても生き残ろうとしている」状態に陥っていると報じています。

中国の不動産市場に詳しい李さん
「2012年にすでに不動産業界の状況はひどくなり、2015年に入ると不動産関連の建材市場のチェーン全体がだめになった。中小不動産企業は実はとっくに倒産しているはずだったが、政府が破産宣告をさせなかった。実際には、市場全体を動かすことのできる国有企業の一部の人たちだけが、ショーを行っていたにすぎない」

これより前、中国メディアは裁判所が発表したデータを引用して、7月21日までにすでに300社近い中小不動産企業が破産したと報じています。

中国の不動産市場に詳しい李さんは、中国ではすでに複数の小規模銀行が倒産しているが、このタイミングで不動産企業の破産が次々と報じられているのには、ある目的があると語っています。

中国の不動産市場に詳しい李さん
「こうした煙幕を張る目的は、次に控えている銀行倒産のために、筋書き通りに緩衝材を用意し、次段階の金融業界の崩壊にそなえて伏線を張るためだ」

中国は1988年から2017年にかけて、人類史上かつていない規模の住宅建設運動を経験し、物件の販売面積が14倍に、販売額が53倍以上に跳ね上がり、不動産による資産が家庭の資産の約80%を占めるようになりました。中国の経済学者、易憲容(えき・けんよう)さんは、この住宅建設運動は非常に長く続けられ、規模も大きく、価格の上昇スピードもかつてないものだと指摘しています。

21世紀財経報道は、不動産販売ランキングリストを見ると、市場集中度は過去3年間ですでに大幅に上昇しており、業界のPMIも重要な時期に差しかかり、大型不動産企業の間でも同じことが起こっていると報じています。

業界環境から見ると、今年は「土地」と「資金」という不動産市場において最も革新的な要素の二つとも、より獲得しづらくなっており、中小企業が「のど元を締めつけられて」います。これらの企業を、破産による消滅や吸収合併といった運命が待ち受けています。また以前は急進的だった一部の中大型不動産企業も、流動性ひっ迫で苦境に立たされています。

中国の経済学者、何軍樵(か・ぐんしょう)さんは、中国共産党が民間不動産企業ののど元を押さている理由について、不動産価格の上昇を抑えてバブルの崩壊を防ぐためだと考えています。同時に、国有不動産企業に融資を続けるのは、不動産価格を維持して不動産市場の崩壊を防ぐためだ指摘します。

中国の経済学者 何軍樵さん
「現在は抑制だ。双方を抑制している。値上がりは許されないし、融資もできない。ゆっくりとこの状況を処理しようと考えている。もし経済が悪化せず、国際情勢が以前のように良好であれば、10年、8年かけてゆっくりと処理できるかもしれない。問題は、国際情勢がそのようにするのを許さない点だ。周囲の環境がこのようにさせてくれない。今の経済状況がそのようにするのを許すだろうか?」

不動産企業の破産や再編成の過程が、中共の権力者に私腹を肥やす絶好のチャンスを与えています。中国メディアは、山東省の省都、済南(さいなん)市の著名なビル、中国銀行ビル(中銀大厦)の破産再編成の際に国営企業が資金の流れに関与し、最終的に数億もの国有収益の行方が分からなくなったと報じています。

何軍樵さんは、中国共産党当局が中央国有企業を守り、不動産価格をコントロールする目的は、政権安定を維持するためだと語っています。

中国の経済学者 何軍樵さん
中国経済の命綱は株式市場ではなく不動産市場だ。不動産市場が破綻したら銀行は終わりだ。銀行が破綻したら経済のすべてが終わる。庶民が預金の引き出しに走った結果、紙幣が増刷されたらどうなるか考えてみるといい。とてつもないインフレが起きる」

実際、中国当局がコントロールしているのは不動産価格だけでなく、顔認証や体格の識別といったハイテク技術によって、社会全体を極めて高度にコントロールしています。李さんは、新唐人テレビの電話取材を受けた際にモバイル企業のショートメッセージで、李さんが国際電話を受けていることについて警告されています。

一方、何軍樵さんは「米国をリーダーとする西側社会は中国共産党に対する態度を180度転換させており、米中貿易協議の結果に関わらず、国際情勢はすでに中国共産党に対し二度と容認する姿勢を示さない。よって中国共産党はすべてをコントロールできるレベルまで二度と到達できないし、かつて当局のためにGDPを生み出してきた不動産市場をコントロールして処理することはできない」と考えています。

 
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