香港では、逃亡犯条例改正案に反対しデモを続ける市民に対し、警察当局が過度な武力を行使したことで批判の的になっていますが、ほかにも警察の不詳事が次々暴露されています。20日、香港立法会の林卓廷(ラム・チュクテン)議員が記者会見を開き、ベッドに縛られた男性に暴力を振るう、警察官の姿をとらえた監視カメラの映像を公開しました。
鎖骨の下部、胸部、足など、複数の箇所に青あざ。右手の薬指も骨折しています。62歳の鐘さんは6月25日、香港新界地区の上水(じょうすい)で飲酒で他の人とトラブルになり、夜11時頃に警察に拘束されたのち、北区病院に運ばれました。
民主派議員の林卓廷(ラム・チュクテン)氏が入手した監視カメラの映像には、信じられない光景が映し出されています。私服警官一人と制服姿の警官二人が救急室に入ると、一人が手袋をしてから鐘さんのシャツをめくって鐘さんの口と鼻を塞ぎ、それから手で顔や目を押さえつけています。さらに何度も鐘さんの顔を叩き、目に強い光を当て、腹部や下半身を殴っています。
鐘さん(62歳)の長男
「私と弟が望んでいるのは、法を犯した人は警察も含めて、当たり前の制裁を受けることだ」
これらの警官からは暴力を振るわれたほかにも、言葉による脅迫も受けたといいます。
鐘さん(62歳)の次男
「母親は毎晩眠れず、街に出るのも恐れている。警官は母親を名指して手を下すと言い、それから息子二人に手を下すと言った。家族全員の名前と家の住所も言っていたので、父親は非常に恐れている」
鐘さんと家族は6月末に警察に通報したものの受理されなかったため、最終的に民主派議員の林卓廷氏に依頼したといいます。
林議員は記者会見で、これらの警官は慣れた手つきで男性を虐待してるが、これらを見ると、最近のデモで逮捕された市民に対してはもっとひどいことをしているのではないかと疑わざるを得ないと直言しました。
香港立法会議員 林卓廷氏
「年長者に対し、ほしいままに虐待し、殴打し、脅迫している。これが警察なのか?私はずっと警察全体を批判するのを避けてきたが、今回のことは警察全体に恥をかかせた。最近、多くの抗議者が逮捕されたが、彼らのうち、どれほどの人が似たような、または更にひどい拷問を受けたのだろうか」
事件当事者の警官三人はその後、ようやく逮捕されました。うち一人はすでに辞職していたとのことです。
香港法例第427章「刑事犯罪条例」によると、公務員が公務執行中、意図的に他人に激痛や苦痛を与えた場合、酷刑罪施行の罪に問われ、終身刑に処することができます。