【動画ニュース】豚肉価格高騰の中国 影響を受けるのは庶民だけでないい

米中貿易戦争の激化とアフリカ豚コレラの蔓延によって、今年の中国の豚肉価格は昨年同期比で50%以上上昇しています。8月27日、米国の会員制倉庫型卸売大手のコストコが上海に初の実店舗をオープンしましたが、買い物客が殺到し、豚肉や牛肉、粉ミルクの売り場では奪い合いが発生ました。

中国では例年なら、夏場になると豚肉の需要が減少しますが、今年は豚肉価格が高騰し、先週の卸売平均価格は1キロ当たり29.49元(約436円)にまで上昇しています。前週比で11.1%、前年同期比では52.3%上昇し、小売価格は1キロ当たり24元(354円)から70元(1030円)に上昇しています。

ネット上には、主婦たちと豚肉卸売業者が豚肉を奪い合いする動画が投稿され、さらにはネット有名人がパロディー動画を製作し、豚肉さえ思う存分食べられない中国の現状を揶揄しています。

豚肉業者
「これは2019年最新の限定版豚バラです」

顧客
「50カラットはちょっと大きすぎかしら?他も店も見てみるわ。豚肉を買うのって、やはり普通の買い物とは違うから」

中国の豚肉価格高騰の最大の原因はアフリカ豚コレラの発生だと言われています。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクール 謝田教授
「我々が入手した情報では、アフリカ豚コレラが発生した原因はロシアから輸入した豚肉がウイルスを持っていた。中共は豚肉を貿易戦争の政治的武器にし、米国産豚肉の輸入を拒否し、厳格な検疫も行なわず、ロシアから輸入した」

昨年8月に遼寧省で初のアフリカ豚コレラの感染例が確認されてから、当局は実際の感染情報を隠蔽し続けてきました。外国メディアからは、管理監督の不備によって、病死した豚の肉が市場に流入し、さらに輸送過程で交差感染が発生し、わずか8か月で中国全土31の省に感染が広がったと指摘されています。

需要と供給のバランスが大きく崩れているにも関わらず、中国当局は庶民の食卓を武器に、米国に対する報復を展開し、今年1月から4月までの米国産豚肉の輸入量は前年同期比で53.6%減少しています。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクール 謝田教授
「中共がもっと早く措置を講じ、庶民にアフリカ豚コレラの深刻さを明確に伝え、処理の全過程を透明化し、さらに米国産豚肉の制限措置を緩和していれば、物価の上昇を抑えることができたはずだ。当局は明らかにこのようにしていない。貿易戦は実際は中共の利益のために米国と戦っており、実際に被害を被るのは中国の庶民だ」

中国国務院は先日、刺激策を推し出し、養豚農家による豚の飼育を回復させ、拡大させると発表しました。皮肉なことに、豚の飼料の主原料である大豆は、米国との貿易戦争で中国当局によって25%の追加関税が科されています。コストの大幅上昇とアフリカ豚コレラ感染のリスクに直面している現在、多くの養豚農家は豚の飼育に踏み切る勇気がないと見られています。

中国の専門家は、中国の豚肉価格は旧正月まで上昇を続けるだろうと見ています。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクール 謝田教授
「庶民はインフレの圧力を肌で感じ、貨幣価値はますます下がるだろう。もう一つ、もしインフレが進み、消費者物価指数(CPI)が上昇すると、人民元安が加速化し、豚肉などを含めて、中国の外国製品の輸入はさらに難しくなる」

 
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