【動画ニュース】上海自由貿易試験区「企業の撤退で抜け殻に」

中国当局は最近、外国資本誘致のため、上海自由貿易試験区の拡大を試みています。一方、ロイター通信によると、当局の資本規制の強化が原因で、自由貿易区としての魅力が失われ、多くの企業が撤退し、抜け殻になっています。

人影のないオフィスビル。南京錠で施錠されている銀行の扉。閑古鳥が鳴いている飲食街。これはロイターが収めた上海自由貿易試験区の現在の様子です。

上海自由貿易試験区は2013年9月、中国初の自由貿易試験区として設立されました。当初は外資誘致のために、「区内と海外のモノやカネの流れを自由化する」ことと金融分野の開放、投資規制の緩和などを約束しました。しかし、実際には逆のことを実施していたため、6年経った今、企業が相次いで撤退し、試験区は抜け殻になっています。

試験区内にある招商銀行は、政府の資本規制の強化によって当初約束したメリットがなくなったことに気づき、昨年末に区内業務を担当するチームを解散しました。

試験区にある銀行で働く職員は、「当局の資本規制の下で、カネは全く自由に流れていない。そのため、試験区内にある数百の銀行口座は、ゾンビ口座になっている」と漏らしました。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授
「当初中国共産党が上海自由貿易区の概念を打ち出した時、TPP加入の願望が強く、国際社会に上海の人民元の自由兌換の試行をアピールしようとした。今になってみると、TPP加入はもう不可能で、試行を続ける気もないようだ」

2015年から当局は、資本の流出を懸念し、人民元の海外流出を制限しはじめ、自由貿易区の必要性がさらに低くなりました。

ブルームバーグの報道によると、2015年の中国株大暴落後、北京当局は一部の企業が上海自由貿易区の外貨優遇政策を利用して、虚構取引を通じて大量の外貨資金を海外に移転していることに気づきました。

米国サウスカロライナ大学エイキン校ビジネススクールの謝田教授
「上海自由貿易区内に『自由な兌換』が存在するだけで、中共の『資本規制』という覆いに穴が空いているようなものだ。間違いなく中国各地の人民元が上海自由貿易区に流入しており、外貨も大量に流出している。中共高官もこの機会を利用して、人民元を投げ売りしている」

上海自由貿易試験区の設立当初、中国の専門家は上海が香港を超え、香港の代わりとなることを期待していました。しかし海外の専門家は、資本規制がある以上、上海が香港に代わって国際金融センターになることはありえないと考えています。当局の2017年/18年のデータによると、中国本土への年間直接投資(FDI)額1250億ドルのうち、8割が香港経由で流入しています。

 
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